剣持刀也のクラスメイトになったら (ページ1)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,334 hit

部活帰り。ページ1

あーあ。割と部活が長引いちゃった。友達、もう帰ったよなぁ～…

歩きながらふと思い出した。教室に筆箱忘れたんだった。あーーーーーーーーーーーめんどくさっ。
しょうがなく教室に向かって歩き出す。廊下では吹奏楽部のメロディーが聴こえてくる。
窓の外を見ると、一生懸命に走る陸上部の姿。部活中のみんなを見ていると、片想いを寄せている彼の顔が思い浮かぶ。
一生懸命探すけど、剣道部は体育館練習だったのを思い出す。
私は彼が部活をしている姿を見ることはできないのか…と肩をしぼませて、教室までの道を歩く。

教室に入ると人影が見えた。部活の更衣室に使われていたことを思い出して、一瞬戸惑ったが、そっと教室の中を垣間見た。

風がカーテンを撫で、その後に紫色の髪が揺れる。

私は一瞬ドキッとした。微かに聞こえてくる吐息。机に伏せて、動かない君。
どうやら寝落ちしてしまったようだ。

私は彼を起こさないように、そろりと近づく。彼は昨日の夜中まで配信していた。
だから今はゆっくり寝かせてあげたい。そう思いながら彼の机をのぞくと、書きかけの日誌が置いてあった。
そういえば彼が隠れ系まじめ男子だったことを思い出す。えらいな、部活休んでまで…
そう思っていると、教室の外に聞き覚えのある声が。あ、友達、待っててくれたのかな…
寝落ちした彼を見れなくなるのは惜しいが、わざわざ待ってくれた友達を待たせるわけにはいかない。
教室を出ようと思った、その時だった。

「行っちゃうんですか」

服の裾を引っ張られて引き留められた。
振り返ると彼は今まで寝ていたとは思えないくらいぱっちりと綺麗な緑の目を開けていた。

「…ぇ、いつから…」
「ずっとです。ちなみに僕、今日クラブオフなのでえらくもなんともないですよ」

え、ずっとってずっと起きてたってこと？てかえらいって…もしかして私無意識に声に出して…

「はい、無意識に。顔に出てますよ」
思わず私は顔を覆った。顔が熱い。彼はあはは、と清楚な声で笑う。
「…てか、なんで引き留めたの」

彼はきょとんとして私を見た。その後あっと言って顔を赤くした、…そう見えただけかもしれないけど。
「…剣持？」
「いや…無意識…だったかもしれないです」
彼はまた笑って、私の方を見た。

「一緒に帰りませんか、Aさん」