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「…おかあ、さん。」
母さんに声をかけても、返事が返ってこない。その時、母さんが死んでしまったのだと漸く脳が理解して涙が溢れ出した。ボタボタと私の頬を伝い落ちていく雫は眠る母さんの目元の近くに落ちた。
私の落ちた涙が母さんの目元に落ちた事によって、まるで母さんが泣いている様に見えて余計に悲しくなる。まだ止まらない涙で濡れる目元を服の袖で擦りながら外に出て、花が咲いていないか辺りを見回したが、手入れのされていない庭に綺麗な花なんて咲いている筈もない。
花を手に入れる為に、私は近くにある公園で花を摘んで来ようと急いで家を出た。近くにある公園は二つ。一つ目の公園はとても人気で人がいっぱいいるので花を勝手に取っていったら怒られてしまうかもしれない。
それだけはダメだ。姉さんに迷惑がかかってしまう。二つ目の公園はあまり行きたくないが、迷惑をかけるのだけはどうしてもしたくなくて人気がない公園まで走った。
「ぅ…。」
私がこの二つ目の公園が苦手な理由は、この公園はもう古びて不気味な雰囲気を漂わせているからだった。異臭がして思わず鼻を押さえる。
私が間抜けな高校生達の一人だったなら、きっと遠慮もなくこの公園に踏み入りインスタ映えーとか言ってパシャパシャ写真を撮っていただろう。インスタ映えとは何か分からないが、家の前を通る女子高生達がきゃはきゃは言っていたのを覚えている。
昔からお化けが怖い私からすれば、こんな暗くて気味の悪い場所に自ら近寄るなんてしたくない。でも、今回は仕方ないのだ。母さんが死んだ。首を吊って。確かこの間テレビで首を吊って死んだ人は長い時間苦しみと戦って死ぬと言っていた。
母さんは苦しんで死んだのだ。涎を垂らし、白目になって涙を流しながら、醜い姿でこの世を去った。なら、せめて最期くらいは綺麗に眠らせてあげたい。
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muu(プロフ) - けさん» コメント気づかず、そして返信も遅れてしまい申し訳ありません。短編集公開の決め手はあなた様のコメントでした。嬉しいお言葉ありがとうございます。私の作品を探してくださってありがとうございます。け様こそこれから幸せでいてくださると私が嬉しいです。 (2023年4月2日 10時) (レス) @page45 id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
け - どんな回答であっても飲み込むつもりでいます。どうか御返事をお願い致します。そして、貴方のこれからに良き風が吹く事を願っております。 (2022年7月28日 23時) (レス) @page1 id: 7bc13d5481 (このIDを非表示/違反報告)
け - そこから、「この作者の作品を全表示」から飛んでやっとの思いで短編集に辿り着く事が出来ました。ですが、パスワードが掛かっており、拝見出来る状態ではありませんでした。そこで冒頭でも言いました様に、パスワードを誠に恐縮ながら教えては頂けないでしょうか。 (2022年7月28日 23時) (レス) @page1 id: 7bc13d5481 (このIDを非表示/違反報告)
け - 見終わっても何回も読み返す程でした。その時丁度スマホの機種を変えてしまって(引き継ぐのを忘れてしまって)主さんの作品と約一年程離れてしまいました。そして、何度か検索を繰り返しているうちにやっと主さんの短編集の関連作品と出会えました。 (2022年7月28日 23時) (レス) @page1 id: 7bc13d5481 (このIDを非表示/違反報告)
け - 夜分遅くにすみません。お手数掛けますが、主さんの作品の一つである「大大大大大大大大大大大好き」という呪i術i廻i戦の短編集について、一つお伺いしても宜しいでしょうか。私は以前、(といっても大分前)にその作品が題名の通り大好きで、文字数↓ (2022年7月28日 23時) (レス) @page1 id: 7bc13d5481 (このIDを非表示/違反報告)
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