第八話：魔法のキス、再び ページ29
．
中学生になってもう二年と半年。母さんと過ごしているだけであっという間に一日が終わる日々が過ぎ、もうこんなに月日が流れた。あと数ヶ月で俺は中学を卒業する。でも、その前にしておきたい事があるのだ。
それは、母さんとキスをすること。幼い頃に母さんが落とした本、いばら姫に俺は密かに憧れを抱いていた。キスをすれば目が覚める。つまり、キスをして目を覚ました人間が自分の運命の相手なのだと、俺はそう言う風に解釈していた。
実の母親とキスなんて駄目な事は分かっているが、初キスぐらいは好きな人に渡したっていいだろう。気合いを入れて母さんを探しに家の中を見回る。
(母さん、何処行った？)
母さんと過ごした場所、母さんが居そうな所を見て回るが一向に母さんを見つけられない。本当に何処に行ったんだ。キョロキョロと辺りを見ても使用人の姿だけで母さんは見つからなかった。
「なぁ。」
「ひっ、な、何でしょう悟坊っちゃま。」
「…母さん知らねぇ？」
「奥様ですか？先程旦那様の部屋に入っていくのを見かけましたが…、」
あれ、でも一時間程前に入ったのになかなか出て来ませんね。
首を傾げながら不思議そうにする使用人の言葉に、ゾクリと背筋が凍った。あのクズジジイの所に、母さんが？しかも一時間経ってるのに出て来ない…？
嫌な予感がして、使用人の呼び掛けにも答えず親父の部屋まで走る。途中で色んな奴とぶつかったりしたけれど、今はそいつらに構っている暇なんてない。
親父の部屋の襖を勢いよく開ければ、湯呑みを持ちながら頭を揺らして眠る母さんと結構歳をとった使用人が居た。
「あれ、親父は…？」
「私が追い出しました。坊っちゃま、取り敢えず襖を閉めて中に入ってくださいな。」
「…分かった。」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2095人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
muu(プロフ) - わっぱみがき#上弦の弐#万世極楽教#絶賛教祖中さん» コメントありがとうございます♡気に入っている設定でしたので褒めて頂けて嬉しいです。嬉しいお言葉ありがとうございます！ (11月18日 18時) (
レス) id: d72e1585a0 (このIDを非表示/違反報告)
わっぱみがき#上弦の弐#万世極楽教#絶賛教祖中 - 突然すみませんこの作品めちゃめちゃ好きです。設定神だし、その発想力人生何周したら手に入るのか、、、文才もあって発想力もある……(゜ロ゜)？！もしや作者さんは神という存在なのか？！ (11月16日 10時) (レス) @page5 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
森 - 突然すみません以下同文です…… (2022年7月30日 13時) (レス) id: 16b29645b2 (このIDを非表示/違反報告)
miyu - 突然すみません大大大大大大大大大大大好きのパスワードを教えてくれませんか？ (2022年6月18日 21時) (レス) id: b50d43723e (このIDを非表示/違反報告)
ビター - 突然すみません大大大大好きのパスワードを教えてくれませんか？ (2022年4月15日 19時) (レス) id: d05a01f832 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
