ま ざ こ ん ご じ ょ ー。【五条悟】

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「さとる君おはよ！」

「今日も格好いいね！」



教室に向かう途中話し掛けてくる女達を無視して歩けば、格好いい…と呟いているのが聞こえた。無視されてんのに格好いいって、女ってドMが多いのだろうか。

うざ、と心の中で思いながら自分の机に勢いよく鞄を下ろせばクラスで男女共に仲が良い女が何してんのと話し掛けてきた。うるせーと言いながらチラリと其奴に視線を向ければ、女は私を睨んできた。



(コイツなんて名前だっけ、忘れた。)


「学校の机に鞄強く置くなんてどうかしてる！その鞄買ってくれた親に申し訳ないとか思わないの！？学校の机も傷がついたら親が支払うんだよ！？」



朝から面倒な奴に絡まれたと思わず溜息を吐いた。時々いるよな、こういう偽善的なことする奴。キャンキャン犬みたいに騒いで人のする事に口出ししてくる女を人睨みすれば何よと睨み返してきた。

どうやらコイツは俺が金持ちだと知らないらしい。机なんてこんな古いやつよりもっとピカピカしたヤツを買ってやるし鞄選んだの母さんじゃねぇから大事にする必要性もねぇだろ。



「うるせーな、何でお前に指図されなきゃなんねーの？ウザ。」

「は？悟が物を大事にしないからでしょ？」



他校でも小学生は皆性別関係なく下の名前を呼び捨てしているが、正直言って俺は下の名前を呼ばれるのは好きじゃない。俺の名前を呼んで良いのは母さんだけだし、他の女に呼ばれると俺の名前が汚れている様に聞こえるからだ。



「何とか言ったらどうなの？」

「…俺の名前呼ぶんじゃねーよ。それにうぜえっつってんだろ。」



先程より低い声を出して女を睨めば、言葉に詰まった様子で目に涙を溜めた。ほら、女は直ぐに泣く。本当にウザい。

泣き始めたソイツを周りの女子が慰め始め、俺に怒りをぶつけてきた。元はと言えばソイツが悪いのにどうして俺が怒られるのか。俺に向けられる声を無視して外を眺めていれば教室に入って来た担任が泣いているソイツに気付いて声を掛けた。



「悟が泣かしたんだよ！」

「わたしっ、悟に注意しただけなのに…！」

「悟君、ちょっと空き教室で先生と話をしましょう。」



次々と母さん以外の人間から吐き出される俺の名前に吐き気が酷くなる。下の名前で呼ぶなって言ったばかりなのにまた俺の名前を呼ぶなんて。机に拳を叩きつけて勢いよく立ち上がり担任やクラスメイトを睨み付けた。



「俺を下の名前呼ぶなって言っただろーが！」


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