NO45 ●携帯 ページ46
「いつ」
「えっ？」
「いつから行くの？」
「来月の◯日です…もう1ヶ月を切っていて…」
1ヶ月しない内にAと一年間会えなくなる…。
「イルミさん！それで私、実は思い切って携帯を買ったんです！良かったら、イルミさんの連絡先を教えてもらいたくて…」
カバンの中から真新しい携帯を出してくる。
「それ、どうしたの？」
「街の電気屋さんで買ってきたんです！この前エイダさんと一緒に行ってきました！」
「…オレの連絡先は"それには"教えられない。仕事柄狙われる事も多いし、オレを追ってそれ(携帯)を狙う奴らも出てくる。そうなったらAが危ないだろ。万が一落としたり失くすような事があっても困るしね。」
「そ、そうですか…」
断られると思ってなかったA。がっくりと落ち込む。
「(イルミさんの連絡先、聞けなかった…一年間どうしよう…)」
「(他の手を考えるしかない…)」
「じゃ、そろそろオレ行くから。」
「！はい！お気をつけて！」
去っていくイルミに手を振って見送る。
「(何かいい方法ないかな…)」
ー次の日ー
ガラッ
「あれ、イルミさん⁈」
「や。」
仕事から帰ってくると、彼が部屋にいた。いつもと違い、今日は店には来なかった。
「イルミさん、どうしたんですか？」
「はい、これ。」
そう言いながら何かをAに差し出してきた。
「？何ですか、これ。機械？」
渡された物をまじまじと見る。
「オレ専用の携帯。」
「えっ！！」
「それなら盗聴も逆探知も出来ないし、何かあったら自爆させる事もできる。(遠隔操作もね)オレの弟が作った物で、オレの家族はみんなそれを使ってる。それなら大丈夫。」
「イルミさん・・・ありがとうございます…」
昨日、イルミが帰ってから何か良い方法がないかずっと考えていた。手紙で文通…彼の家とやりとりしている事が知られたら、学校も危ないかもしれない。彼がどんな仕事をしているのかは分からないが、そこまで言う理由があるのだろう。
一年間は連絡もとらず、勉強に集中しようか…諦めかけていたAにこれ以上ない嬉しい報告だった。
「とても…とても嬉しいです…時々連絡しますね…！」
渡した携帯を大事そうに抱えながら笑いかけるA。
「時々？ふざけてるの？1日一回は必ず報告入れる事。分かった？」
「はい！」
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
