NO40 ●黄色 ページ41
「うん、分かった。キルの事はオレの針でなんとかするよ。じゃあそういう事だから。」
ーバタンー
「(やっかいな能力(ちから)だな。わざわざ閉じ込めなくてもあいつを消しちゃった方がいいと思うんだけどね。親父は甘いな。)」
「イルミ様」
部屋に入る直前、ゴトーに声を掛けられた。
「何？」
「以前A様にお渡ししたコインなのですが、私が持っている対の物が執事宅にいる時だけ緑色に変化しております。使用人の家に近づくと黄色に変化していたので恐らく、このあたりに来ているのではないかと…」
ゴトーの話を聞いてすぐに走り出す。
『プルルルルルル、プルルルルルル』
「はい！もしもし、こちらゼブロです。ゴトー様！
はい！はい！わかりました！今すぐに！」
「(すぐに家に戻れって何だ何だ、何かあったのか？こんな事初めてだ…)」
ゼブロが家の方に向かってからすぐ、イルミが門の前に着いた。
ーギィィイィぃー
「(A…)」
あたりを探し出すと、すぐに草むらで丸まって眠っているAを見つけた。
「全く気配を感じなかった。いつからここにいた？…親父達に気付かれたらややこしいな…。)」
「ん〜〜・・・」
ーパチッー
目を開けるとすぐ目の前にイルミの顔があった。
「あ、起きた？」
「イルミさん！！」
びっくりして起き上がろうとすると、イルミのおでこに自身の頭を思い切りぶつけた。
「ギャッ、すみません！！」
「…意外と石頭だね。」
「そうなんです！じゃない、イルミさん大丈夫ですか⁈すみません！」
イルミに向かって何度も頭を下げる。
「別に。大丈夫。」
「良かった…イルミさんに会えた…」
「・・・」
3か月ぶりに会うA。泣きそうな顔で笑っている彼女を見て先程までの出来事を全て忘れてしまいそうになる。
「あんなところで何してたの？」
「イルミさんに会いに来たんです！最近、お店に来る事がなくなったのが心配で…今までそんな事なかったから…」
「・・・」
Aが自分に会いに来てくれた。その事実に自身にはないはずの"嬉しい"感情が溢れでてくる。
「ちょっと家で色々あってね。忙しくて行けなかった。もう終わったから。」
「良かった…あれ、ここどこですか⁈」
ふと周りを見るとさっきまで自分がいたはずの場所ではない事に気づく。
「Aの誕生日に連れてきた森。前にいた場所とはちょっと離れてるけど。」
話をしていると、彼の携帯が鳴る。
『プルルルルル、プルルルルル』
「うん、わかった、今行く。」
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
