NO39 ●門 ページ40
「(えーっと、確かこっちだったはず…)」
翌朝、大きな荷物を背負って出発したA。
このお店にたどり着いた頃を思い出し、逆方向の道のりへと歩いていた。
「(そういえば、買い出し以外で街中歩くのってあの日以来だなぁ…)」
エイダのお店に来てからは材料の買い出し以外で街に来る事が全くなかった。
「(あ、懐かしいな、このお店、働くの断られたお店だ)」
懐かしい気持ちが沸々とわいてくる。
「(あんなところに公園がある。)」
「(ん〜こっちだったかなぁ。)」
記憶の欠片を辿って歩き進めていく。
なんとか街を抜け出し、屋敷へ繋ぐ山道までたどり着いた。
目の前には断崖絶壁の道が続いている。
(私こんな道を歩いてきてたんだ…)
改めて見るその道の恐ろしさに冷や汗が出てくる。
車が走る道を1人歩いて進んでいく。
ついに辿り着いた大きな大きな門。間違いない。忘れもしない、彼のお屋敷だ。
「(久しぶりに見たけど前より大きく見えるな〜！！)」
草むらから屋敷の門をまじまじと眺めていると、一台の車が門の前で止まった。
「よし、お前らいくぞ！！！」
大きな男の人達がぞろぞろ出てきたかと思うと門番の男性に当たり散らしている。男性から鍵を奪った大男達が門の中に入っていくと、扉から大きな獣の腕が人間の物であろう骨だけを門の外に捨てていた。
「(ひえ〜〜〜！！！)」
「もう、ミケー！変な物食べたらダンナ様に叱られるよー！」
門番の男性がそう言うと、何のためらいもなく骨の片付けを始めた。
「(ミケってあの時のあの子⁈なんなのここは…！！)」
あまりの衝撃的な光景に冷や汗が止まらないA。
「(とんでもないところで過ごしてたんだな…。生きてて良かった…。)」
どれくらい経っただろうか。あまりの衝撃に動けなくなっていた。
「(もう暗くなってきちゃった…エイダさん心配してるかな…)」
ーキイイィー
車の急ブレーキの音がする。
暗くてほとんど見えない。その場に蹲っていると、よく知っている声が聞こえてきた。
「あぁ、父さん、うん、やっぱり67人だった。間違いない。」
車から降りてきたのは彼だった。
「(イルミさん・・・！)」
「これで確信したね。今すぐにでもアルカは閉じ込めておいた方がいい。もう家に着いたから詳しいことはまた後で。」
「(何か話してる…？)」
扉を開けて屋敷の中へと消えていった。
「(良かった、元気そうだ…)」
イルミの姿に安心したのか、そのまま眠りについた。
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
