光と闇【HUNTER×HUNTER】 (ページ38)

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NO37 ●通信制学校ページ38

「んー・・・よし、決めた！」

「エイダさん、あの、お話があるんです…」
「なんだい、あらたまって」
「実は・・・」

今日もイルミが来店した。
つまり、今日は帰ったら部屋で彼が待っている。

「そろそろイルミさんにも話しておこうかな。」

ーガラッー

「ただいまです！」
「おかえり、今日はいつもより10分早かったね。」
「頑張って早く片付けてきました！実はイルミさんにお話したいことがあって…」
「・・・」
曇った表情になるイルミ。
「私、通信制の学校で勉強する事にしました！」
「・・・通信制の学校？」
何それ、と彼が聞く前にAが話を続ける。
「学校まで行けない人のために、学校に行かなくても家で勉強ができて、卒業資格がもらえるのです！
普通の学校と同じでテストや昇級試験もあります！私、もっともっと勉強がしたいなと思っていて…もっと計算ができるようになりたいのと、歌を作れるようになりたくて…」

店が繁盛するようになってから毎月お給料をもらえるようになっていた。店を手伝うようになってすぐ、計算が出来ない事に気づいた。毎日毎日ノートに歌詞やメロディを書いてはいるが、これがちゃんと楽譜となっているのか…歌になっているのか。勉強がしたい気持ちが日に日に強くなっていた。なんとかして学ぶ事ができないかとずっと考えていたのだ。
「ここらへんには学校がなくて一番近いところでも片道3時間はかかるみたいなんです、通うのは大変そうなので通信で勉強することにしました！」
嬉しそうに話すA。

「…ふーん。それをしたら今までと何か変わるの？」
「お店のお手伝いができる時間が短くなってしまうんです…これからはお昼のピークを過ぎたら家で勉強しようと思っていて…
エイダさんも応援して下さったので、全力で頑張ります！！」
両手でガッツポーズをする。

「・・・」
店にいる時間が短くなるということはAに会える時間が短くなる。店が終わって勉強する事になったら今のこの時間も無くなる？

「それ、本当に必要なの？」
彼の漆黒の瞳がいつもより更に深く、暗くなっていく。
「はい！絶対必要なんです！」
揺るがない強い紫に輝く瞳で自身を見つめてくる。一切の揺るぎがない。あの時とは違う。強い意志。

「・・・そう。頑張ってね。」
「ありがとうございます！」
Aがオレから離れていく？いや、店から消える訳じゃない。ただ時間が短くなるだけ。別に離れる訳じゃない。短くなるくらいなんて事はない。