NO36 ●素直じゃない ページ37
昨日はたくさん話しながらいつの間にか寝てしまっていた。
目が覚めるとイルミの姿は見えず、足元にたくさんの果物が並べられているのに気づく。
「わぁ〜！美味しそう！」
「起きた？」
彼が巨大な木の実のような物を片手に抱えながら歩いてきた。
「イルミさん！それ、なんですか⁈」
「これ？よく分からないから持ってきた。食える？」
そう言うと持っていた木の実を地面にバタバタと落とす。
「うわ、めちゃくちゃ硬そうな木の実ですね！こんなの初めて見た！」
ーコンコンコンー
謎の木の実を叩いてみる。
「中が空洞になってる音がする…何か入ってるのかな。」
木の実にチョップしてみる。
「いたたたた。でもなんとか割れそう…」
何回かチョップを続ける。
バキッと半分に割れたかと思うと、中から水が溢れ出てきた。
「わああぁ！水だ水だ！大変！これ、飲めるかな…」
匂いを嗅いでから少しだけ口に入れる。
「・・・！美味しい！イルミさん、これとっても美味しいです！」
「…ほんと野生児だね」
「本当に美味しいですよ！甘くて、でもさっぱりしてる！」
割れた半分の身をさしだしてくる。
「・・・確かに。」
「ね！そうですよね！こんな木の実、初めて見たなぁ、面白いです！」
ワクワクしているのがその様子から見て分かる。
「(何がそんなに楽しいんだか・・・)」
イルミの取ってきた果物を食べた後、来た時と同じように彼におぶされてAの家に帰ってきた。
「イルミさん、今日は本当にありがとうございました！とっても楽しかったです！」
「別に・・・」
「最高の誕生日でした！ありがとう！」
ニコニコと笑っている彼女を横目で見る。
「・・・」
「オレ、この後仕事だから」
「はい！頑張ってきてください！」
「イルミさん、またね！」
笑いながらイルミに向かってずっと手を振っている。
「(あいつが笑ってるとイライラする。でも他のイライラとは違う。身体が熱くなってく感じ…。
・・・爆弾みたいなやつだな)」
そう、Aが彼にとって本当に爆弾のような存在になるのはもう少し先の話・・・。
「エイダさん！ただいま！」
「A、おかえり、誕生日おめでとう！」
「どうだい、楽しかったかい？」
「うんっ！エイダさん、あんな素敵なプレゼント考えてくれてたんですね！ありがとう！」
「？あぁ、うん！喜んでくれて良かったよ！」
「(あたいが考えた？…素直じゃない奴だね〜」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 74人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
