光と闇【HUNTER×HUNTER】 (ページ34)

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NO33 ●プレゼントページ34

「ん？イルミさん？」声のした方向を見る。道の壁の上で片膝を立てながら座りこんでこちらを見ているイルミの姿があった。

「明日、休みなんだろ？」

「そうです！あれ、何で知ってるんですか⁈」

「秘密。」
そう言いながらスタッと下に降りてきた。

「どこか行くの？」
「そうなんです！明日、ちょっとしたお祝いをしたいので準備のために買い物に行こうと思って！」
買い出しリストを手に握りしめているA。
「ふーん。」
「イルミさん、今日はどうしたんですか？」
彼がお店に寄らずにこの場所で出会ったのは初めての事だった。
「オレが連れていってあげるよ。」
「えぇ！イルミさんが⁈いいんですか⁈ありがとうございます、車とかあるんですか⁈」
そう言い終わる前に身体が浮いていた。

「へぇっ⁈」

イルミにおぶさった状態になっている事に気づく。
「イルミさん⁈」
「軽いな、ちゃんと食ってる？」
「たくさん食べてます！っっっ！」
言い終わったと同時に凄まじい速さで走りだすイルミ。
向かい風が痛いくらいに当たっていく。
「(速い〜！息もしづらいよ〜！)」そう伝えたかったが、あまりの速さに喋る事さえ出来なかった。
「(そういえば、初めて話した時もこんな風に背負ってくれてた…)」

どれくらい走っていたんだろうか。彼の足が止まり、降ろされたその場所は街の灯りは全くなく、人の気配もない、あたり一面綺麗な花が咲いている森の中だった。

「わぁ、、、綺麗・・・。」

夜の月に照らされてキラキラと輝いている一面の花畑。
あまりの美しさにAはただただ立ち尽くしていた。

「っ！イルミさん、ここは…？」
「仕事の帰りにオレが見つけた。ここなら人もほとんど入ってくる事がない。」
「本当に綺麗…ありがとうございます、こんな綺麗な場所に連れてきてくれて…」
「・・・。」
一面の花畑を眺めている彼女の横顔を見る。こんな表情をしたAは初めて見た。

「イルミさん、今日はどうしたんですか？こんな…綺麗な場所に連れてきてくれて…」

「明日がAの誕生日だから店を休みにするって店主が話してたのを聞いてね。忙しい自分の代わりにAの誕生日祝いをお願いしたいって彼女に頼まれた。」

「そうだったんですか…エイダさん、そんな事考えてくれてたんだ…イルミさん、わざわざありがとうございます。最高の誕生日プレゼントです…。」
そう言うとその場に座り込み、風に靡いて揺らめく花を見つめる。