NO32 ●誕生日 ページ33
あっという間にまた一年が過ぎようとしていた。
「A、もう少しであんたが来てから2年になるね！」
「はい！」
「てことはあんたの誕生日ももうすぐって事だね！」
「私の誕生日⁈」
「あんたが来た日を誕生日にするって去年話しただろ！もう忘れちゃったのかい⁈」
「…まさかまさか！忘れてなんかないですよ！」
「良かった良かった。楽しみだねぇ、何をしようか！」
「・・・」
「(誕生日⁈そんな話してたっけ…全然覚えてないなぁ…)」
イルミに埋め込まれた針によって去年のあの日の記憶が全くないA。
(来月になったらこのお店に来てからもう2年になるのかぁ…)
(エイダさんに何かお礼がしたいなぁ)
カレンダーを見ながら考える。
仕事が終わり、帰る準備を始める。
「A、今日も先帰ってておくれ！まだやりたい事があってね！」
「はーい！エイダさんも早く帰ってきてね！」
「ありがとね、気をつけてお帰り！」
エイダに向かって手を振りながら帰っていく。
「さてと、売上の計算してと…」
ーガチャンー
「悪いねぇ、今日はもう店終いしたよ！」
「カタカタカタカタ」
「あれ、あんたAの！Aならもう帰ったよ！」
「…話がある。」
「？」
「A、店の休みの事なんだけど」
「お休み？」
「そ、今週はいつもより少し長めに休もうと思ってるんだ、◯日から◯日までかな」
「(◯日って私がここに来た日だ…)
「分かりました！」
「(よ〜し、今日が終わったら明日からお休みだ！明日はエイダさんに出会って2年の日！」
そんなことを考えながらいつものように仕事をこなしていく。
閉店時間となり、片付けも終わったAはエイダに先に帰る事を告げて店を出た。
(買い出し行って明日の準備するぞ〜！)
張り切って歩きだすと、
「A」
どこからかよく知っている声が聞こえてきた。
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
