光と闇【HUNTER×HUNTER】 (ページ29)

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NO28 ●あの日のケーキページ29

Aのお誕生日祝を終えて2週間程経った頃。
いつものように彼が現れた。

「「いらっしゃい！(ませー)」」

「ギタラクルさん！」
「カタカタカタカタ」

いつもの席に座り、いつものメニューを注文する。
「はい、紅茶とフルーツジュースです！」
「カタカタ」
注文した品が届いたと同時にりんごのうさちゃんが添えられたフルーツジュースをあっという間に飲み干す。

「(わ、もう飲み終えちゃった…イルミさん、お腹減ってるのかな？)」
「ギタラクルさん、良かったら何か食べませんか？」
「カタカタカタ・・・ケーキ。」
「？」
「木の実のケーキ」
「木の実のケーキ…あぁ！」
彼に言われて思い出す。お屋敷でお世話になったお礼にと、出発の前日に彼にケーキを作っていた。
「ケーキですね！承知しました！木の実がないので今ある果物で代用して作ってきますね！」
「カタカタカタカタカタカタ」
心なしかギタラクルが笑っているように見えた。
「(ケーキ、覚えてくれてたんだ…)」

「エイダさん、彼に出すケーキ、私が作ってもいいですか？」
「もちろん！あんたが作りな！」
「ありがとうございます！」
このお店に来てから初めて料理を作る。
「(ここのキッチン使うの初めてだから緊張するな…頑張ろっ)」
イルミの為ということもあってなのか、ワクワクしながら張り切って作っていく。

「お待たせしました！」

木苺で出来たケーキを持ってくる。
「今回は木苺なので全く同じ味ではないんですが…」
「カタカタカタ」
ケーキを見つめながらフォークを手にして一口口に運んだ。
「(どうかな…)」
「・・・」
無言で食べ進める。
「ケーキ…」
「えっ？」
「ケーキ、もうないの？」
「…！あ、あります！今持ってきますね！」
そう言われダッシュでキッチンに戻っていくA。
「(美味しかったのかな…良かった…)」
嬉しいのと食べてくれた喜びが込み上げてくるAだった。