NO26 ●何なのか ページ27
「イルミさん、腕は大丈夫ですか？」
「腕？」
何の事？とでも言っているかのような顔でこちらを見る。
「あの、以前お会いした時腕を怪我されてたので…」
何の事？と思ったイルミだったが、部屋に飾られていた植木鉢を見てすぐに思い出す。
「あぁ、あれね。問題ない。オレからしたら傷のうちにも入らない。」
「まぁ…何ともないなら良かったです。」
「あの・・・イルミさん・・・」
「何？」
「私に何かお話があったんですか？お店が終わるの、待っててくれたんですか？」
「・・・」
「(あれ、やっぱり違ったのかなぁ)」
「お前がいるとモヤモヤする。(いなくてもだけど)凄く気持ち悪い。これがなんなのか分かるまで自分で確かめることにした。」
ピシッと人差し指を立てながらさも自然に話しているが話の内容に違和感しか感じない。
「(気持ち悪いって…)はぁ…どうやって確かめるんですか」
「それも分からない。」
紅茶をすすりながら答える。
「はぁ…(来てくれたの嬉しかったんだけどなんかショックだな…)」
彼の意図が分かったような分からないような話に少し落ち込むA。
「まぁでもこうやってまた会えるのは嬉しいです！ゴトーさん達はお元気ですか？」
「元気なんじゃない？」
そう言いながらまた紅茶をすする。
(何故？がつくんだろう…)
話をすればする程彼が分からなくなっていく気がしていた。
「じゃあオレ、明日仕事だから」
そう言うとその場から立ち上がりギタラクルへと変装していく。
「ひいいいぃぃ！」
初めてでないとはいえ、あまりの恐ろしい光景に目を背けるA。
「イルミさん、痛くないんですか？！」
「全然」
「(どうなってんのこの人)…！！」
さらに疑問が増えていくAだった。
「ギタラクルさん！」
部屋から出ていこうとする彼に声をかける。
「何？」
「あの…会いに来てくださってありがとうございます、とても嬉しいです…」
エイダ以外に知り合いがいないA。理由はどうであれ、彼が自分に会いに来てくれるのが嬉しかった。
彼と話している間は、記憶がない事実も忘れられた。誰かと繋がりがあることに安心した。
「・・・」
「おやすみなさい…！」
「・・・」
彼はすぐにその場を去った。
(イルミさん、次はいつ会えるかなぁ？)
(またこれだ。なんなんだろ、本当。どうやったら消える？)
胸のざわつきを抑えられない。
(あいつに会ってる間は少しは収まってる。あいつ、やっぱりオレに何かした？)
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
