NO25 ●同じ ページ26
キッチンからこっそりイルミの様子を伺う。
「(腕大丈夫かな…普通に使ってる、良かった…ミックスジュースも飲んでくれてる！)」
彼の動きを何かと気にするA。
「(なんだいこの子達)」
エイダはそんな2人を不思議そうに見つめていた。
この日も彼は紅茶だけを注文し続け、閉店時間となった。
「お客さん、Aの知り合いなんだって！また来てくれてありがとね！あんた、この子の事ずっと待ってたんだろ、もう2人で帰んな！」
えっ？と言いたげな顔を上げるA。
「ギタラクルさん、待ってくれてたんですか？」
「・・・」
「そんなん聞かなくても分かるだろーに！」
「でもエイダさん、片付けがまだ…」
「いつも最後まできっちりやってくれとるだろ！今日はもいいから早くお帰り！」
「・・・」
「エイダさん…ありがとうございます…」
2人の会話が終わるとお店から出ていくイルミ。
「あれっ、行っちゃった…」
「早く追いかけな！」
「はい…」
急いで着替えを終え裏口から出て行く。
「(いない…イルミさん、もう行っちゃったかな…)」
「どこ行くの？」
とぼとぼと歩いていると後ろから声をかけられた。
「ギタラ、あれ、イルミさん！」
そこにはギタラクルではなくイルミの姿で立っている彼がいた。
「帰らないの？」
「帰ります！」
「あ、えーとあの…ちょっとお話したいので良かったらうちにどうですか？」
前回と全く同じ流れになっていることに言い終わってから気づく。
「あの狭い部屋ね。いいよ。立ち話よりましかな。」
「・・・」
部屋に着くと前回と同じように紅茶を用意する。
「すみません、お砂糖もミルクもないんですが…」
「相変わらず不便だね。」
「・・・」
相変わらず失礼な事をずけずけ言ってくるなと思ったAだが口に出すのはやめた。
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
