光と闇【HUNTER×HUNTER】 (ページ23)

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NO22 ●怪我ページ23

「・・・」

会話が止まったまま数分が経った。
(ど、どうしよう…)
ふと見上げると視線が彼の手元に入った。

「あれっ、イルミさん、腕どうしたんですか？」
「腕？」
よく見ると、右腕の手首付近の部分に数カ所穴が空き、出血していたであろう血の跡がついていた。

「(あぁ、これか)」
昨夜、眠っていた彼女が自身の名を呟いていた。ただそれだけの事なのに今まで感じたことのないざわめきを感じた。
それをかき消すように自分を抑え込んだ際、掴んでいた指が自身の腕を深く抉っていた。

「問題な「怪我してる！！！」
言い終わる前に彼女が叫ぶ。

「大変大変！ちょっと待っててください、消毒液とか持ってきます！」

「・・・」
勢いよく部屋を出ていく彼女をただ見つめていた。何をそんなに必死になっているんだろう。こんなの傷のうちに入らないのに。

ーバタバタバタバター

ガラッ「お待たせしました！！救急セット持ってきました！！」
そう言うと小さな箱と植木鉢を手に戻ってきた。

「イルミさん、腕見せてください。」
彼が腕を差し出したのと同時にAが彼の腕を掴んで自分に引き寄せる。

「酷い傷！！いつからですか⁈」

「昨日」

「そんなに前から⁈菌が入ってたら大変！急いで消毒しないと…」
手慣れた様子で応急処置を始める。側にあった水で傷口を洗い、ガーゼで拭う。
薬を塗り、植木鉢に生えていた木の葉っぱをめくって出てきた透明な物を傷口に貼る。

「何これ？」

「アロエっていう植物です。傷口や火傷した部分に貼っておくと傷を治していってくれるんです。このお家の周り、たくさん植物が生えていて…この間見つけたので育てていたんです。良かった…」

「・・・」

「薬も蜂蜜やアロエや植物を混ぜて私が作った物なのであくまでも応急処置用なんです。ちゃんとした薬じゃないからお家に帰ったらゴトーさんにすぐに診てもらってください！」

「こんなの傷のうちに入らない。」

「入ります！！腕がえぐれてます！すぐに診てもらって下さい！！」
そう言いつつ再び傷の手当てを施していく。

「・・・」
本当に問題ない。自分にとっては何ともなっていない状態。こんな傷、傷だと認識したこともされたこともなかった。
もちろん処置等されたこともなかった。
だが、今目の前にいる彼女は必死で傷を診て手当てをしている。モヤモヤが増していく。
彼自身にも分からない、知らない、初めての感情。