NO2 ●焚き火 ページ3
Aはただひたすらにまっすぐ歩いていた。
(歩いてたら必ず森から出られるはず。頑張らないと…)
刻一刻と時は進み、夕刻を迎えようとしていた。
(もう陽が落ちてきた。そろそろ今日の寝床を探さないと…)
−グラッー
(あれっ、何、身体が…)
"バタン"
その場に倒れるA。
ーガサッー
「(限界かな。)」
の目が覚めると、目の前に焚き火が見える。
「あれっ、私、いつの間に焚き火なんて用意したかな？」
「やっと目が覚めた？」
「・・・っ！」
焚き火の向こうには見覚えのある少年の姿が。
「貴方はこの前の…！どうしてここに…？」
「言っただろ、ここはオレの訓練場だって。お前の後を尾けて尾行がバレないか試してた。
弱った人間相手じゃ練習にもならないかと思ったけど、意外と体力あるみたいだし普通の人間相手の練習台にはなったよ」
「？・・・少しでも役に立ったのなら良かったです。
焚き火は貴方が用意してくれたんですか？」
「そうだけど？」
「…ありがとうございます。凄く暖かい…」
「…これからどうするつもり？」
「とりあえず、まっすぐ歩いていけばいつか森から出られるんじゃないかと思って。とにかくまっすぐ歩いてます。」
「普通の人間だったらこの森から出るには1ヶ月はかかる。君のその傷じゃあ2ヶ月はかかるんじゃない？(普通の人間は入ってきたこともないしオレ達を狙ってきたやつらは全員死んでるけど)」
「っ！この森、そんなに広いんですか…」
(2ヶ月…大丈夫かなぁ、私の身体、持ち堪えてくれるだろうか…)
「あの、貴方は大丈夫なんですか？1ヶ月も…テントとか食料は持ってるんですか？」
「オレは普通の人間じゃないから。問題ない。」
(？普通の人間じゃないってどういう意味なんだろう・・・)
「凄い…よく分からないけど…」
「今の話を聞いて何とも思わないの？」
「森の中にいるのは怖くないというか…むしろ落ち着くんです。何でか分からないけど…多分、森で過ごした事があるのかなぁ？
これ！ここにくるまでに魚も木の実もたくさん取れましたよ！」
歩いている道で見つけた木の実や、河で釣った魚を木のツルで通したものをイルミに見せる。
「野生児だね。」
「(野生児・・・)
お腹減ってませんか？良かったら一緒に食べませんか？」
近くにあった木の枝に魚を刺して焚き火で焼き始めたA。
「火を起こしてくださったのでとても助かりました、ありがとう^^」
「・・・。」
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
