NO19 ●再会 ページ20
店じまいが終わり帰ろうとする2人。
「さっきのお客さん、面白かったね！」
「本当に、あんな人初めてだったよ！」
「また来てくれたらいいなぁ〜」
「そうだねぇ」
歩き始めると手に持っていたはずの荷物がないことに気づく。
「あれ⁈私荷物がない！忘れてきちゃった！」
「どうしたんだい、珍しい」
「すみません、先に帰っててください！」
「分かった、気をつけて帰ってきなよ」
「はい！ありがとうございます！」
(おかしいなぁ、さっきまで持ってたと思ったんだけど…)
店の裏の扉を開く。
ーギィィ ガチャンー
「あったあった！ん？なんか針が刺さってる…」
そこには針に刺されたカバンが壁に突き刺さっていた。
「え〜なんでだろう…」
不思議に思いながらも壁から針を抜き、まじまじと見る。
(何これ…)
カバンを取り、針を握りしめながら店を出る。
(これ、エイダさんに聞いてみよ)
歩き出そうとしたその瞬間。
「元気そうだね。」
「！！だれ⁈」
目の前の暗影から先程の不思議な客が現れた。
「あれ、貴方はさっきのお客さん…私の事知ってるんですか？(もしかして昔会ったことあるのかな⁈)」
なんて見当違いなことを思っていると、
「分からない？」
「？？？」
男が顔に刺さっている針を1本ずつ抜いていく。
「・・・イルミさん！！！」
「あー、やっと元に戻れた。」
不思議なお客さんが目の前で知っている人物に変わって現れた。
「あの、えっとどういう⁈さっきのお客さんは⁈」
「オレだよ。変装したオレの姿。」
「変装⁈顔がグネグネして…！なんか凄い事になってましたよ！！」
「それがオレの変装。オレの能力。」
「・・・」
驚き過ぎて言葉が出てこない。今見たのはなんだったんだろう。イルミさんて…
「オレの話聞いてる？」
「あ！すみません、びっくりしすぎて…えっとなんでしたっけ。」
「元気そうだね。」
「あ、はい！イルミさんとお別れしたあと、今の店主のエイダさんて人に出会って！本当に良くしてもらっていて！いつも元気をもらってるんです！」
「…ふーん。」
(あれ、そもそもなんでここが分かったんだろう⁈たまたまかな⁈)
色々な思いがぐるぐると頭をめぐる。
「あの、もしイルミさんが良かったら今私が住まわせてもらってるお家に一緒に来ませんか？」
「いいよ。立ち話もあれだしね。」
「(それ、私のセリフじゃ…)」
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作者名：301 | 作成日時：2023年8月7日 15時
