恋はサイダーのように【縁下力】 (ページ3)

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職員室へ鍵を返し、私は家に向けて歩き出した。
返しに言った時武ちゃん先生に｢暑いですが無理しないようにしてください｣って言われたけど学校から家まで帰るのが既に私からしたら無理してる。

烏野から家まで大きな坂がある。
下りだから楽だと思ったらそうじゃない。
アスファルトからの照り返し。四方八方からの蝉の鳴き声。地獄でしかない。

足取りがどんどん重くなっているのがわかる。
吹き出す汗は止まらず、ローファーに熱がこもり始めている。
たまらず背負っているリュックから私は水筒を取り出した。
しかし、神様は意地悪だ。

水筒は水滴だけが零れるだけ。
喉を潤すにはかなり足りない量だった。

｢はぁ、坂ノ下商店行くかぁ…｣

私はまた重い足を動かし坂の下商店へ向かった。

とぼとぼ。

そんな効果音が聞こえるかのような歩きで坂を下る。

少ししてようやく坂ノ下商店と筆で書いたような看板が見えてくる。

すると

｢おーい、水瀬ー。1人でおかえりですか？｣

後ろから私の肩に手を置いてやってきた。

その声の主は同級生の縁下力だった。