王様が優しく笑ったようで。【影山飛雄】

#87：不意打ちとはまさにこれ ページ47

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…………え？



「じゃ、失礼します」



心ちゃんにぺこりと頭を下げた影山くんは、私の方へ歩いてくる。



「よし、じゃあ食堂行くぞ」

『……いいの？心ちゃんじゃなくて』

「なんでだ」

『せっかくのお誘いだよ？しかも影山くんも心ちゃんの名前覚えてたし……』



心ちゃんと一緒にご飯なんて食べて欲しくないのに、思ってもないことを口に出してしまう。


いつから素直になれなくなったんだろう。



「別に人の名前覚えるくらい普通だろ。
……それに、Aの彼氏は俺で 俺の彼女はAだ。彼女と一緒に居たいっつーのも普通だろ」

『…………』

「な、なんだよ 悪いかっ」



悪いよ、心臓に悪い。

そんな言葉を期待してたわけじゃないけど、嬉しくてにやにやしちゃう。


こういうことを、たまにサラッと言うから無理なの。

かっこよくて無理なんだよ。



『あー！悪いね！！心臓に悪いっ』

「はぁ？意味わかんねぇわ。……それとも、俺と一緒に飯食いたくねぇのかよ、」


ぷい、とそっぽを向く影山さん。



『そんなこと一言も言ってないよー』

「なら行くぞ、ほら」



差し出された手に自分の手を重ねる。



『え！？』



その途端、影山くんは指を絡ませてきた。いわゆる恋人繋ぎというやつだ。


今まで普通に繋いできたのに……。どこでこんなの覚えてきたのさ。

不意打ちの出来事で、少し焦って照れる。



「この方がAと離れてない感じで、いいなって思った、から……」

『はい逮捕。不意打ちすぎるので逮捕です』

「なんでだよ！！」



食堂に行こうと、心ちゃんの前を通る。
その時に一瞬だけ、心ちゃんの方を見たんだ。

私を見る目はすごく鋭くて、怖かった。


明らかに私睨まれてますね！？完全に睨んでますよね！！？

心ちゃん、絶対に影山くんのこと好きだ。
次はいつ影山くんに迫るかわからない。


そんな心ちゃんを、今日は怖いって思った。





「………………」

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