黄緑担当です。9

○With uratanuki ページ45

✻


・タイトル通り、
他の歌い手さんが出てきます。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿







Aくん今日空いていますか?
もし空いてたら相談に乗ってほしいです


何気に初めてなのかもしれない。

きみくんと呑みに行くことは無かったし、
何よりきみくんから誘ってくるとは。

すぐに「いいよ」と返事を返して
スマホを鞄の中に入れた。

…俺あんま酒飲めないけど。


＿＿＿＿＿＿＿＿＿





「……本当に良いの？
何なら俺が奢るけど…」


「俺が誘ったので俺が奢ります！」


とドヤ顔で言うきみくん。

ここはお言葉に甘えて良いかなと思い、
オレンジジュースを頼む。

正直言うと、俺は酒が弱い方だ。

きみくんの相談を受けるんだから、
もし寝ちゃったら申し訳無いし…。


「…で、どうかしたの？」


とりあえず、頼むだけ頼んで
待ってる間にきみくんに聞いてみる。

だけど、きみくんは
口を開けて黙ったままだ。


「何かあった…？」


「俺…愛されてるのか不安なんです」


「…何でそう思ったの？」


震えた声で言うきみくんに対して、
なるべく優しい声で尋ねてみる。

すると、またきみくんは
俯きながら黙り込む。

シーンとした空気の中、
きみくんが頼んだであろう

ビールが運ばれてくる。


ビールが入ったジョッキを持ち、
一旦呑んでから、

きみくんはもう一度口を開いた。


「…何ででしょうかね

もしかしたら、みんなの言葉に対して
俺の思い込みが激しいかもしれませんし…」


「…思い込み？」


「俺結構メンタル弱いんですよ

些細な事言われると、
すぐ傷付くというか…

何気ない一言の勝手な解釈で
みんなを巻き込んじゃったり…」


と淡々と話しながら
ジョッキを握るきみくん。

…何でそんなに傷付くんだろう。


メンタルが弱い…か。


「最近自信が持てなくなったり
することもありまして…」


「無理に自信付けなくても良いよ
ちょっとずつで良いんだから」


そう言いながら、
頼んであったオレンジジュースを飲む。

…最近のきみくんは何処か可笑しい。

何て思ったのは失礼だけど。


「…すいません」


「え？」


「ビール追加でー！」


ジョッキを片手に上げながら
聞こえるように大声で言うきみくん。

…酒のおかわりってことね。

○→←○

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す