黄緑担当です。9

○ ページ19

✻



きみ今から家行くね


数分前にきみから
そんな一件のLINEが届く。

…やべえな。

まだ答えは決まってないのに、
アイツとどう話せば良いんだ…。

しかも、数分前ってことは
もう俺の家に向かってるって事か。


と考えていると、
ピンポーンと呼び鈴が鳴る。

玄関へ向かってドアを開けると、
傘を持ってるのに、

何故かずぶ濡れのきみの姿。


「お前、風邪引くぞ？
ってタオルあるじゃん」


「これ志麻さんに借りた」


志麻さんって…浦島坂田船の…。

とりあえず、きみを中に入れて
替えのタオルと服を渡す。

きみは俺の服に着替え、
タオルで顔や髪などを拭く。


「…さとみくん」


名前を呼ばれて思わずピクッと跳ねる。

ごめん、と言おうと
口を開いた瞬間、

きみの言葉によって遮られた。


「やっぱあの歌で歌うのやめようか」


「………は？」


きみの方を向けば、
きみは優しく笑っている。

…どういう風のふき回しだろうか。


「俺、間違ってたよ

相棒が居なくなったからって
同じ曲を歌って

無理に忘れる必要なんてない

そんなこと思ってすらいなくて、
さとみくんを巻き込んじゃった

…本当にごめんね、違う曲歌おっか」


笑っていた表情から
すぐに真剣な表情へと変わっていく。

…良かった。

と内心ホッと一安心する。


「何歌う？」


「あ、俺アレが良いな」


とスマホである曲を検索する。

検索した曲を再生し、

それをきみに見せると、
少し困ったような表情を見せながら

その曲を聴いていた。


「…さとみくん
俺歌える自身無いわ…」


「お前が恥ずかしがるとか珍しいなw」


「恥ずかしいというか自身損失」

○→←○

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す