黄緑担当です。3

○With nanamori ページ47

*


「きみくん、3日ぶり」


「う、うん」


手をヒラヒラとさせながら
俺の方にやってくるなーくん。

俺は手を振る余裕がなくて
そのまま俯いてしまう。

「きみくん、
俺言いたいこといっぱいあるよ

……このままで良いから聞いてほしい」

と丁寧で何時もの優しい声で
言うなーくん。

毛布を見詰めながら
なーくんの話を聞こうとする。


「お母さんからきみくんが
倒れたって聞いて

俺一瞬時間が止まった感覚になったんだ
信じられなくて目開いてた


きみくんが無事なのかって
ずっとずっと震えてた


んで、病室来たと思って入ったら
点滴打たれて寝ているきみくんがいて

一気に安心と悔しさが混ざったんだ
こんなになるまで無理してたんだ


何で相談してくれなかったのか」


淡々と喋るなーくん。
俺は黙って毛布を見詰める。

これ理由言ったら呆れられるのかな。
多分無いと思うけど。


「だからさ、
思わずきみくんにビンタしちゃって…

あの時は叩いてごめん」


「んーん、大丈夫」


そこまで痛くは無かったし、
特に気にしてもいなかった。

「俺怖かった？」と聞かれて、
何て返せば良いか戸惑ったけど

声が震えながらも
「怖かった」と言った。

同い年の男性に震えるって
中々無い気がする。


「退院してすぐに放送するよ

ツイキャスじゃなくてYouTubeで
入院のことと過去のこと

この入院って過去のことと
関係してるから、その理由も話したい」


今度はなーくんと目を合わせる。

なーくんは何も同情せずに
「…分かった」と言うだけだった。

健康診断終わって家帰ったら
Twitterで言っておこう。


「話は変えて…これ見舞品」


「どうせリンゴだろう」と
少し期待する俺だったが、

なーくんに渡されたのは梨だった。

梨ってリンゴより高くなかった？
気のせいか？

「ありがとう」と言って、
少しパンパンになっている

リュックに梨を詰める。

すると「きみくん」と
なーくんに呼ばれて、

ん？、と言いながら
「今度は何？」と聞いてみた。


「誕生日は絶対にきみくんが
喜ぶもの用意するから」


「え、あ、ありがとう

てか何で今誕生日の話？」


なーくんの言葉が後ほど
分かるのは後7日だ。

○Twitter→←○With colon

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す