第二十三話 維新の記憶-函館 壱 ページ26
微かに瘴気が漂い始める。
見覚えのあるそれに、ピクリ、と山姥切国広は反応した。思い出すのは苦い初陣の記憶。眉をしかめ、全員に告げる。
「おそらく……敵が、来るぞ」
その言葉に、全員が臨戦態勢に移った。
「嫌な空気だな。囲まれてないか確認しろ」
山姥切国広の言葉に、全員が索敵に移る。
「……こちらは問題無い」
骨喰藤四郎は、あたりを見回して言った。
「こっちも、大丈夫だろう。多分だが」
三日月宗近は、一瞥した後に言った。
「……おそらく問題無い」
へし切長谷部は、敵のいる方角を睨め付けながら告げた。
「……どうやら、囲まれてはいないみたいだよ」
山姥切国広は、小夜左文字の言葉に頷いた。そして目を細める。
「……敵陣形は、鶴翼陣か。……なら、こちらの陣形は、魚鱗陣だ」
その言葉に従い、魚鱗陣を敷いた。
骨喰藤四郎の眼前には、おどろおどろしい敵がいた。僅かに顔をしかめる。ちらりと己の本体に視線をやった。
「……参る」
山姥切国広の言葉に視線を上げた。
そして、戦の火蓋は切って落とされた。
真っ先に機動が一番高いへし切長谷部が切り込む。
「圧し斬る！」
ザシュッと鈍い音が響く。
他の刀剣もそれに続いた。
「その目、気に入らないな」
「突きだ！」
「死んでよ」
敵短刀ニ振りを危なげなく殲滅する。今回の誉は、山姥切国広だった。
「俺は、俺だ」
山姥切国広は、布を下げた。そして、他の隊員の様子を確認する。……三条の太刀達はウズウズしていた。山姥切国広の視線に気づいたのか、小狐丸は苦笑した。
「……何せ、機動と敵の数の関係で、未だに敵を屠れていないので」
そうか、と言うと山姥切国広はしばし思考し、口を開いた。
「撤退せず、このまま行軍を決行する。……良いな？」
皆、同意の意をこめて首肯した。
山姥切国広は、賽子を振った。賽の目は、寅の目を出していた。
「……おや、どちらに向かうのかは賽子が決めるのですか！」
小狐丸は、山姥切国広が振った賽子をしげしげと眺めた。
「そのようだな。……それ、無くすなよ」
山姥切国広は、布を下げて頷いた。そして軽く忠告する。小狐丸は、山姥切国広の言葉に頷いた。
「先を急ぐぞ」
山姥切国広は、布を翻し一歩を踏み出した。他の五振りもそれに続いた。
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清河清明(プロフ) - 鞠璃音さん» コメントありがとうございます！！これからも頑張ります！！ (2016年10月23日 23時) (
レス) id: 4a48ec0504 (このIDを非表示/違反報告)
鞠璃音 - 友人に薦められて読みました！主人公の行動が斜め上で、面白いです。これからも更新頑張って下さい！！ (2016年10月23日 23時) (レス) id: 1bb56d4b39 (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - ゆめゆさん» ご指摘ありがとうございます！きっちり修正しました。コメントありがとうございました！！ (2016年10月15日 15時) (レス) id: 4a48ec0504 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆ(プロフ) - 隊の名前が間違ってますよ！魚鱗陣に有利なのは逆行陣ですよ！ (2016年10月15日 15時) (レス) id: 31a1160be4 (このIDを非表示/違反報告)
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