ヒドインVSヒドイン【オリジナル】

35.親友だから ページ38

「あー！肉取るなー！」

「お、お前さっき沢山食べただろ？」

「Aちゃんに、月川君、相変わらずだね」

ユウはそう言って笑う。

姫野さんと語った次の日の夕方、私達はバーベキューをしていた。

でもね、今日の昼間にも怪しい黒い影が見えたの！やっぱり不安だな……

「お、あれうまそー！いーただき！」

西園寺さんはえらい速さで肉をゲットしていく。

「そんなに焦らなくても、具材は人数分きちんと充分に用意しているのだけど……」

呆れた様子の姫野さん。ピーマンをぱくり。

「そうなんだけど、雰囲気が大事なんじゃないかな？」

ユウは私達の肉戦争を擁護してくれた。

そうそう！雰囲気が大事なのー！

「あ、あの」

リク君が私の方を向いて絞り出すように声を発する。

「ん、何？」

カイトは何故かこちらを見ている。そしてハラミを口に運ぶ。

「話が、あるんだ。ちょっといいかな……？」

カイトの手が止まった。でも私は気にも留めず、リク君について行った。
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バーベキュー会場から少しだけ離れた小さな湖。そのほとりに2人で腰掛ける。

「話って、何？」

妙な緊張感が漂う。

「相談があって……実は……その……」

下を向くリク君。相談？え、告白じゃ……ないのかな。

「ぼ、僕、好きな人がいるんだ！」

「す、好きな人!?」

つい身構える私。だ、誰!?ユウ？それとも……

「僕、西園寺さんが……西園寺さんが好きなんだ！」

私の中で上昇していた期待値は、一気に弾けた。

ちょっとだけ、いや普通に私は思い上がっていただけなのかな。

本当、馬鹿だな……

「Aさんは、親友だと思ってる……あ！勝手に！」

「……そっか」

「だ、だから、応援してほしくて……」

彼はどんどん顔を赤くする。

そして私はたった今、失恋した。

私の恋は私の中だけで、終わったんだ。

そうだね、私はあなたの……親友だね。

「頑張ってねリク君！親友として励ましてやる！」

「ありがとうAさん！ちょっと勇気出てきたよ」

「そりゃあ良かった！」

「うん、あ、じゃあ先に戻るね、また」

そう言ってリク君は去っていった。

「なんで、なんで私じゃないのかな……」

そのあと何故か自分の服が濡れていく。そうか、私、泣いているんだ……

悲しいんだ、悔しいんだ……

「あれ？」

何か気配を感じる。もしかしてあの影？

それは予想だにしない人物。

「カ……カイト!?」

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ラッキーキャラクター

如月ちゃん(夢主)

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