112 ページ12
．
「なんか久しぶりだねぇ」
「そうね〜」
夏休み最終日の今日は、七瀬と、学校帰りにたまに寄る、2人のアジトのようなカフェでゆっくり。
七瀬はいつもミントティーと、シフォンケーキを頼んで、私は、アップルティーと苺のタルトを頼む。
もう私達、このお店の常連さんだねぇ、って顔を見合わせて笑う。
「Aはさ、遠距離恋愛ってどう思う？」
「ええ、顕嵐くんどこか行っちゃうの？」
「ううん、……そうじゃないけど」
…遠距離恋愛かあ。
そう口にして、暫く考え込む。
今は学校に行って隣を見れば、
毎日永瀬くんを見ることが出来るし、
挨拶をすれば直接声が返ってくる。
それが、永瀬くんが例えば転校してしまって…
「や、やだ！」
「……やっぱり、やだよね。」
「あ、やだ…っていうか、その、
難しい、なぁって、」
私がそう言うと、七瀬は凄く寂しそうな顔をして俯いた。
「七瀬、どうしたの。何でも聞くよ？」
「…ううん、いや、………なんでもない。」
「……そう。」
七瀬は、半分残ったシフォンケーキを
フォークで弄りながら、
上目遣いで私を見る。
「Aは、永瀬のことが好きなの？」
「……………」
「……………A？」
「………へっ、……す、な、永瀬く……」
「…わかりやすいね。」
七瀬は口を開けて、顔を真っ赤にしてフリーズする私を笑う。
「そうだろうなぁ、って思ってはいたけど、
永瀬かぁ………。ていうか、私に言ってよ〜。」
「……ごめんね」
「ふふ、可愛い。」
「…可愛くない」
「長妻の方はどうなの？」
「怜央くん？」
「うん、どう思ってる？」
「怜央くんは、……優しい。
面白いし、一緒にいて楽しい。
大好きなお友達……かな？」
「そっかぁ。そう伝えとくね。」
七瀬は、曖昧に笑うと、
残りのシフォンケーキを口にして、言う。
「頑張ってね、永瀬と」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1630人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうな(プロフ) - めっちゃ面白くて見ててドキドキでした！続きが気になります(^^;) (2020年7月20日 4時) (
レス) id: 14d033d146 (このIDを非表示/違反報告)
しず(プロフ) - 更新頑張ってください！Twitterフォローしました！ (2019年3月22日 11時) (レス) id: 56d3701af2 (このIDを非表示/違反報告)
楽 - すごくおもしろかったです（≧∇≦）これからも頑張ってください^_^ (2018年7月9日 22時) (レス) id: 122c024c29 (このIDを非表示/違反報告)
ａｏ★ - すごくきゅんきゅんします!これからも、応援してます！更新頑張ってください！ (2018年4月7日 23時) (レス) id: c77dac933d (このIDを非表示/違反報告)
大好き - 更新頑張ってください！応援し続けますね！ (2017年9月1日 23時) (レス) id: 86c35818c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆるちゃん。 | 作成日時：2017年7月24日 15時
