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次の日、教室に入るとすぐ、
七瀬が飛びついて来た。
「ちょっと、どうしたの!?」
「昨日どうだった?」
七瀬はとびきりの笑顔を見せて、
興奮した様子で言う。
「どうって…?」
「やだなーもう!長妻のこと!」
「怜央くん?」
「うん…え!?!怜央くん!?」
「な、なに!?」
「…あいつ、チキンなりに頑張ったのね」
七瀬はさっきのテンションとは打って変わって
落ち着くと、感心したようなため息をつく。
さっきからなんなのよ…?
七瀬に色々と質問責めをされながら、
やっと自分の席まで辿り着くと、
既に席に座っていた永瀬くんと、
一瞬目があった。……気がした。
今、こっち、見てたよね…?
気付いた時にはもう視線は別の場所にあった。
「Aー!聞いてる?」
「あ、うん、………なんだった?」
「だから、今日らんれおとお昼一緒に食べない?」
「………らんれお?」
「顕嵐くんと長妻のことよ!2人の一部のファンからそう呼ばれてるんだって。顕嵐くんがなんか嬉しそうに言ってた。可愛いよね。」
「あー、うん。可愛い!」
「思ってないでしょー!」
七瀬は怒ったように言うけど、
顔は幸せそう。
顕嵐くんと上手くいってるみたいで何よりだ。
「だめ?」
「いいよー」
やったー!って喜ぶ七瀬をよそに、
教科書類を鞄から机に移していたら、
隣から視線を感じる。
バチッ。
見てみたら、今度は永瀬くんとしっかり目が合った。やっぱり…見てたんだ。
「な、なに…?」
「……」
耐えきれず、永瀬くんに聞いても、
目を合わせだんまりとしたまま。
だけど、なんだか何か言いたそうにしている。
口が、開いたり閉じたり。
魚みたいで、可愛い。
なんて思っていたら、永瀬くんはやっと
何かを喋り出す先ぶれのようにすうっと息を吸った。
「……お、」
「…お?」
「おまえら席つけーーーー」
………やっと話そうとしてくれたのに!
何も知らない担任は、タイミング悪く
のうのうと教室に入ってきた。
「じゃあA、またあとでね!」
七瀬はそう言い残して自分の席へ
颯爽と帰っていく。
永瀬くんの方を再び見ると、
もう前を向いていて、意識はこちらに無かった。
久しぶりに、永瀬くんと話せると
思ったんだけどなあ……。
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ゆるちゃん(プロフ) - あいぷうさん» 本当に、やっと気付き始めました(笑)嬉しいお言葉をありがとうございます( i _ i )更新頑張ります! (2017年7月24日 15時) (レス) id: b55da15e6f (このIDを非表示/違反報告)
ゆるちゃん(プロフ) - りりさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます( i _ i )更新頑張りますね! (2017年7月24日 15時) (レス) id: b55da15e6f (このIDを非表示/違反報告)
ゆるちゃん(プロフ) - ゆーみさん» わ〜( i _ i )とっても嬉しいお言葉をありがとうございます。更新頑張ります! (2017年7月24日 15時) (レス) id: b55da15e6f (このIDを非表示/違反報告)
あいぷう(プロフ) - 廉くんツンデレたまらない、、やっと好きだと気付いたんですね…!この作品最高ですだいすきです!!更新楽しみにしています!これからも頑張ってください!応援しています!(^-^) (2017年7月23日 20時) (レス) id: 7c1a7d0db9 (このIDを非表示/違反報告)
りり - すごく面白いです!!更新楽しみにしています!!頑張ってください!! (2017年5月8日 21時) (レス) id: d8f3b52d81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆるちゃん。 | 作成日時:2016年8月2日 0時