となりのムスッとくん。- Ren.N -

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「………あのね、」



永瀬くんにたっくんの事、大切なぬいぐるみの腕が取れちゃった話やそのキャラクターのものは今じゃもう売ってないこと、全部話した。


話してる途中も、うっさんのことを思い出してうるっときた。



昨日縫ってはみたけど、うまくいかなくて
お母さんに頼んでももう治しようが無いって
言われちゃったの。

あの腕のふっくらした感じが好きだったのに。




「…そっか。」

「…うん、聞いてくれてありがとうね」



永瀬くんは全部のヘタを取り終わった
ミニトマトのパックを私の手に持たせると、
鞄をゴソゴソとし始めた。


暫くその様子を眺めていたら、
「あったあった」って呟きながら永瀬くんが鞄から取り出したのは、




「これ、あげるわ」

「………え？」

「いいから受け取れや」


小さめの白いうさぎのキーホルダー。

・・・ってこれ！



「うっさん！？」

「え？」


ふっくらとした腕に、真っ白な体。
長く伸びる耳の右耳は、先っぽが曲がっている。

うっさんと一緒の特徴だ。




「なんで……これ？」

「なんでって？…これ、小さい頃から持っとったやつやねん。同じうさぎやし、どう？」


ずーっと沈んでた心がじわじわと浸透していくように暖かくなっていく。

まさか、こんな偶然があるなんて。


「嬉しい……永瀬くん、ありがとう！」



うさぎの頭をなでなでする。

すっごくすごく、幸せな気持ちだった。





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