四十三口 鍛冶屋 ページ9
「秋だな。」
「今年もいい稲穂だな、旦那様。」
『よーし、稲刈り頑張っちゃうぜー!』
斯くして始まった稲刈り。
春に植えた青々しい苗は、立派な黄金色の穂となった。
えっへん、何度も言うけど俺には豊穣の力があるからこれぐらいのことは朝飯前。
今回は増し増し特盛だよ!!
『あー、疲れた、』
「半分、片付いたし休憩にすっか!吟ーおにぎりもってこーい!!」
「よっしゃ旦那様ーーッ!」
稲を刈っては束ねて結び、刈っては束ねて結ぶ。
そんな単調な作業の繰り返しでとても大変だが、それいがいい。
大変な作業の後に食べる、おにぎりがとても美味しいから。
「むぐっ!?す、酸っぱいぃ。」
「おお〜吟、それりゃ当たりだな。特大梅干しだ!」
んん、米ウマ。
稲刈ったあとは、干して稲こきか......。
あとは畑のナスを全部とって、ピーマンを片付けて大根とその他アブラナ科の植物を植えて......
んん?
次々とおにぎりを頬張っていると、ふと影が指した。
空を見渡すも、太陽には雲はかかっていない。
『??』
「お前ッ。」
吟さんの険しい顔が見えた。あの時のような険しい顔が。
恐る恐る顔を、視線を上げると
いかにもって感じの高そうな着物。
農業とは全く無縁そうな肌と体格。
旦那と同じどしぐらいの青年が立っていた。
あの時の横顔の人。
「やあ、精が出るな?鍛冶屋よ。」
「......久しぶりだな、領主殿。」
「鍛冶屋は、俺の家の屋号だぜ。名前で呼んだらどうだ領主殿?」
「同じく領主は只の称号だ。昔のように呼んだらどうだ鍛冶屋。」
な、何だよ......案外仲がいいのか。
だったらなんで吟さんはこんなにも警戒してて
「おいコラ領主様よォ、何のようだ!」
「...ん、君は鍛冶屋の居候か。......そして君は、初めましてだね?」
こちらに気づき、目線を合わせてくれた。
「ふ、俺はここら一帯の領主をしている。君もこの村に来たのなら覚えているといい、俺の言葉は絶対......。逆らったら命はないと思え。」
煌々とした、妖しい、笑顔で頭を撫でられ正直鳥肌が止まらない。
鍛冶屋の旦那を陽とするなら、領主の野郎は陰。
正反対だ。
「それがたとえ、親友の君であってもな。」
旦那を横目に見ると、領主は、そのまま去った。
その場の空気は凍りついたまま。
「ごめんな、昔はあんなやつじゃなかったんだけど。じゃあ作業はじめよっか!!」
『はぃ。』
ちゃんと笑えただろうか。
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八咫烏@地獄鴉(プロフ) - 霧憑 幻さん» お気に入りありがとうございます...!! (2017年1月1日 14時) (レス) id: 96dcb9a643 (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - やっとこさ追い付いた……(お気に入り済み) (2017年1月1日 12時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
八咫烏@地獄鴉(プロフ) - 時雨さん» ありがとうございます!更新が止まり気味ですがこれからもよろしくお願いします!_(._.)_ (2016年12月23日 11時) (レス) id: 96dcb9a643 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 続編おめでとうございます!凄く面白いです(*^ω^*) (2016年12月11日 14時) (レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:八咫烏@地獄鴉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/koyuduki271/
作成日時:2016年12月5日 17時