娘じゃないもん **りりの場合**

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“暑っ苦しい”

あれから、ハグなんてそんなにしてくれなかったのに
今日はずっとハグしてくれてるヒチョル
嬉しくてギュって首に抱きつくと

｢なんだよ(笑)
何かあったか？｣

って優しい声が体中に響いて

｢何にも無いの

ヒチョルだぁ
なんか久しぶりのヒチョルだぁ｣

っていった私に

｢お前最近来なかったからな(笑)

あれ、食えるうちに渡さねぇと
と思って

わ、ざ、わ、ざ
俺様が来てやったんだよ(笑)｣

ってテーブルの上の袋を指さして
クククって笑うヒチョルの身体の震えを
体で感じてた



ふって髪をなでられた時
くっついた胸は暖かいのに
その手がひどく冷たくて
思わずその手を握ってた

｢ん？｣

｢寒い？｣

｢いや？｣

｢だって...冷たいよ？｣

私の手を振り払うようにして離すと
自分でその手を握り締めながら
にやって笑うと

｢心が優しいやつの手は
冷たいって

昔から決まってんだよ(笑)｣



って言ったヒチョルの顔が
ほんの一瞬だけ
歪んだのを見逃さなかった

何か...有った？


｢今日はヒチョルのおうち行こうかな？｣

｢あ？来なくていいよ(笑)｣

｢一緒に寝てくれる？｣

｢は？(笑)ガキじゃあるまいし
一人で寝ろ！｣

｢ヤダって言ったら？｣

｢襲う｣



ガオーって
ライオンの真似をしながら
口に見立てた手で
私の腕にガブって噛み付いた

｢ヒチョルはそんなことしないもん｣

｢さぁ？どうだろうな？(笑)
俺はオヤジじゃねぇしな(笑)｣


なんて言いながらもう片方の腕も
ガブって噛まれてた


｢あれ、何？｣

テーブルの上の袋に視線を送ると

｢ん？見てみろよ？｣

って手を離されて
ヒチョルから離れてその袋を覗いた



｢わぁ！

...キャッ｣

大好きなお店のお菓子
そのお菓子に心を奪われてると
ヒチョルが背中に乗ってきて
肩に顎を載せながら


｢りりが好きだろ？｣


っていつもより低い声で囁いた
顔をそっちに向けると
すぐ目の前にあるヒチョルの顔


ヒチョルって
こんな顔してたっけ？

もう、10年以上見てるのに
今日のヒチョルは
なんだか別人みたいで

今更なんだけど
なんだかドキドキして

視線を外したいのに
ヒチョルの瞳に囚われて
そこから視線を外せなくて

少し息が苦しくなってきた頃

｢ほら(笑)喰えよ｣


ってヒチョルが笑ってくれて
やっと...
いつもの私に戻れた


お菓子にてを伸ばしてると


｢デブになるから
食いすぎんなよ？｣


なんて言われて
頭をくしゃっと撫でられた
やっぱり、いつものヒチョルだ

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