娘じゃないもん **りりの場合**

22 ページ23

あれ？誰かいる？
靴が...

｢ただいまぁ｣

いつもは誰もいないから言わない言葉
誰かがそこに居てくれるから
言える言葉を
ちょっと大きな声で言いながら
リビングに入ると

｢ん？でけぇ声だな(笑)｣

｢ヒチョル？｣

｢なんだよ？いちゃ悪いかよ｣



なんて、自分の家？
って位くつろいでソファで寝てたヒチョルが起き上がってきて
両腕を広げた


｢うぅん(笑)ただいま｣


その腕の中に入って
ヒチョルの匂いを感じながら
もう一度その言葉を口にしてた

耳元で

｢おかえり｣

って声がして
暖かくて優しくて
すごく落ち着いて


さっき、ジヌ君に抱き締められた時に感じた違和感を
思い出して

ヒチョルはアッパみたいな存在なのかな？
だから..

ここに
ヒチョルの腕の中にいる時がこんなに落ち着くのかな？



なんて考えてた









時間が空いて
ふとりりが気になって

迎えにでも行ってやるか

なんて思って時計を見ると
下校時間には間に合いそうもなくて


チッ


思わず舌打ちしながら
家でゆっくり待つか

なんて思いながら
この前貰ったあいつの好きなお菓子をカバンに詰めて
家を出た

そう言や最近こねぇな
これ...

あいつに食わせてやろう

と思って...いつから家にあったんだ？

まぁ...あいつが家に来ねぇってことは
あいつが安定してるって事なんだろうけど

車の中で頭をクシャクシャっと掻いて

そろそろ親父面すんのも卒業か？

てか...そもそも親父面する必要なんてねぇんだよな
ソンミナって言う立派な親父があいつには居るし

じゃあ、俺の存在ってなんなんだ？


考えんのもめんどくせぇな
ま、とりあえず顔でも見て
飯でも食わしてやるか



勝手知ったる家
誰もいない時間なのも分かってるから
勝手に入り込んでくつろいでた

ふと時計を見ると
そろそろ帰ってくる時間だな

妙なところで真面目なあいつ(笑)
親が居るわけでもねぇのに
ほぼ毎日寄り道もせずに帰ってくるから
わかり易くていいや(笑)



何気なく窓からあいつが帰ってくるほうを覗くと
影が二つ

...二つ？

はぁ?!

手？手つないでんのか？
なんだよあいつ、男でも出来たのか?!


｢マジか？(笑)｣

とてつもなく乾いた笑いが込み上げてきて
それと同時に
身体がブルっと震えた

クーラー...効かせすぎたか？
窓から差し込む光は眩しいほどで
馬鹿みたいにキラキラしてて
肌はジリジリいってんのに
すげー寒い
気が...する

23→←21

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す