何と闘って ページ29
照
説明されていた通り、蓮はその日のうちに入院した。
小児科の病棟で、担当になる看護師さんが挨拶してくれた。
辰「蓮くんの担当をします、深澤といいます。
みんなからは、ふっかって呼ばれてるよ。
何か困ったことがあったら、ためらわずにナースコールしていいからね」
蓮「よろしくお願いします」
姿勢を正してお辞儀した蓮。
男性の看護師さん、珍しいけど蓮には同性でちょうどいいかもしれない。
深澤さん、爽やかで優しそうだった。
あの人なら蓮も頼りにできそうかな。
急なことで着替えも何もないから、俺は一度家に帰って、必要なものを荷造りして届けた。
照「今日から夜一人だけど、何かあったら看護師さんに言うんだよ。
あと必要なものがあったら連絡してくれたら明日持ってくからね」
蓮「うん、大丈夫。
遠いのに、家と往復させちゃってごめんね」
照「そんなことはいいんだよ」
穏やかに手を振る蓮に安心しながら、帰路に就いた。
家に帰ると、気を張っていたのが一気に緩んだ。
どっと疲れた感覚を背負いながらリビングに向かうと、子供たちが座っている。
蓮の姿が、足りない。
一人いないだけなのに、何かが違った。
照「ただいま」
亮「おかえり」
ラ「…お父さん、蓮くんは僕のお兄ちゃんじゃないの?」
照「蓮はラウのお兄ちゃんだよ。
ラウのお兄ちゃんだし、俺の息子」
ラ「でも蓮くん、違うって言った」
そう、確かに蓮はそう言った。でもね。
照「血は繋がってないかもしれないけど、そんなの俺は関係ないと思う。
ずっと一緒に過ごしてきた。もっと深いところで繋がってる。そうだろ?」
ラ「うん」
照「誰が何て言ったって、蓮は俺たちの家族。
運命で結ばれたラウのお兄ちゃん」
ラ「うん。蓮くんは僕のお兄ちゃん」
照「そう」
ラ「でもね、僕が蓮くんを助けたかった…」
そう言ってラウは泣き出した。
照「ラウ、優しいね。カッコイイね」
ラ「んぅ、んーぅ…」
涙が止まらない。
照「でもね、ラウが血をあげることができなくても、ラウが応援すればそれが蓮の助けになるし、そもそも蓮は強いから、きっと大丈夫だよ」
ラ「お薬頑張ったら治る?」
照「うん。治るよ。蓮はきっと治して帰ってきてくれる」
根拠はない。
でも蓮は幸せにならなきゃいけない。
これを乗り越えた先に、今までの分が全部チャラになるくらい、とんでもない幸せが待っているんだ。
じゃなきゃ、おかしい。
687人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴこりーの - 天才的な作品です!大好き (5月6日 3時) (レス) @page50 id: a68e6058a0 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - ミケプリンさん» いつもエールをくださりありがとうございます!蓮くんにはとびきりの幸せが待っていてほしいですね😊感情移入していただけて嬉しかったです。読み返していただいて新たな発見があったらいいな〜 (3月7日 23時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - さゆらさん» さゆらさんコメントありがとうございます!幸せな雰囲気のお話、お見せできる日がくるといいなと思います。また新しい箱を作って公開することがあればまたぜひ遊びに来てください✨ (3月7日 23時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - はにさん» 嬉しいコメントありがとうございます!私も好きな作品をそのような読み方するので、そう言っていただけて嬉しいです🥹結末は想像通りでしたか?はにさんは同志ですので一緒に達成感味わっちゃいましょ! (3月7日 23時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - ゆきこさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました!希望を見出していただける終わり方になってましたかね?ゆきこさんの心に届いて嬉しいです❤️ (3月7日 22時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sayu | 作成日時:2024年1月16日 19時