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1年前、お母さんが病気で亡くなった。
最後のほうは、病室から離れられないくらい、俺は依存してた。
俺に初めて、家族として愛情を注いでくれた人だった。
色んな人に捨てられた俺に、最後まで残った人だった。
お母さんにだけは捨てられないように、できることは全てしたつもりだったけど、ついに俺は、また1人になった。
お母さんのお葬式で、何度も気分が悪くなってトイレに駆け込んでいた俺は、扉の外にいたラウールのママ友同士の話を聞いてしまったんだ。
「蓮くん、2番目の子、大丈夫かしらね。
菜奈さんの連れ子でしょ？」
「まあ連れ子って言っても血もつながってないみたいだけどね」
「どういうこと？」
「もともと蓮くん、もらいっこらしいのよ」
「そうなのね」
「それでいうと、唯一蓮くんと旦那さんを結び付けてた菜奈さんが亡くなった今、蓮くんは相当立場ないわね」
「旦那さんもどういう気持ちで養ってくのかしらね」
「まだ施設とかに返せるのかしら」
「さあ。どうなんだろうね。
…さすがに油売りすぎだからそろそろ戻ろっか」
俺は、また気分が悪くなって吐いた。
照くんにも、捨てられる？
俺はお母さんが亡くなった哀しみよりも、自分の居場所がなくなるかもしれない焦燥感に駆られていた。
こんなことを思うなんて、恩知らずの俺の心の内側を知られたら、人の心がない歪んだ子、と一発で捨てられるんだろうな。
また、暫定的な居場所探しが始まった。
生まれてきてからずっと、俺の居場所は暫定的だったんだ。
人生の半分以上、身を置くことができた環境が、俺にはない。
居場所を失わないように。
俺は人からどう評価されるかが不安で、当たり障りのない模範解答ばかり用意して、素の自分を上書きしていた。
本当の自分は、ずいぶん前からどこにいるのかわからない。
よそ行き用の俺を自分で作って、ずっと演じているうちに、「素っぽく見える自分」まで作ってしまった。
とにかく、嫌われないように。
誰かに必要としてもらえるように尽くす。
俺にはそれしかないから。
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ぴこりーの - 天才的な作品です！大好き (5月6日 3時) (
レス) @page50 id: a68e6058a0 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - ミケプリンさん» いつもエールをくださりありがとうございます！蓮くんにはとびきりの幸せが待っていてほしいですね😊感情移入していただけて嬉しかったです。読み返していただいて新たな発見があったらいいな〜 (3月7日 23時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - さゆらさん» さゆらさんコメントありがとうございます！幸せな雰囲気のお話、お見せできる日がくるといいなと思います。また新しい箱を作って公開することがあればまたぜひ遊びに来てください✨ (3月7日 23時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - はにさん» 嬉しいコメントありがとうございます！私も好きな作品をそのような読み方するので、そう言っていただけて嬉しいです🥹結末は想像通りでしたか？はにさんは同志ですので一緒に達成感味わっちゃいましょ！ (3月7日 23時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
sayu(プロフ) - ゆきこさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました！希望を見出していただける終わり方になってましたかね？ゆきこさんの心に届いて嬉しいです❤️ (3月7日 22時) (レス) id: 5756981143 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sayu | 作成日時：2024年1月16日 19時
