５ 破壊衝動 ページ37
.．話し終えて、伏黒さんもぽつり、と少しずつなにかを、話し始める。
「俺にも、姉貴がいるんだ。そいつ、津美紀って言うんだけどさ、呪われてて、全然目ぇ、覚まさないんだ」
言って、死んだってわけじゃ、ないんだが、と付け加える。わたしは心のなかで復唱した。つみき、さん。
「なんか、似てんな、俺たち」
ベンチの奥に手をついて、そうぼやく伏黒さん。わたしも思った。そんな境遇に少しばかり笑いながらも、兄のことを思い出す。しばらくそんな、沈黙が降りた。
もうわたしたちに、言葉はいらなかった。
＊
そんなショッピングの大変な休日を終えて、次の日の、また、次の日。わたしは五条先生の名前を呼ぶ。
「どーしたの。A。珍しい」
そう言ってこちらへすたすた歩み寄ってくる、五条先生。わたしは辺りを見回して、誰もいないことを再確認すると、小声で告げる。
『先生、もしかしなくもないと思って話すのですが、あの、変なことかもしれないんですけど』
そこまでだらだらと言い訳なる前置きのような保証のようなものを並べ、深く呼吸する。
『虎杖さん、生きていますよね』
そう神妙な面持ちで言ったわたしとは対照的に、ひょ、と間の抜けた声を漏らす五条先生。その反応に、わかってはいたものの、少々がっくししてしまう。やはり期待なんて、するもんじゃない。しかしそのあとに五条先生は爆弾を放った。もちろん、比喩で。
「うん、生きてるよ」
その言葉に、こちらがひょ、と息を呑んでしまいそうだった。実際、ひゅ、と鳴っていたかも知れない。
しかし驚いた。生死の境が曖昧になってゆく。
「生きてるし、なんなら今は、映画鑑賞中。行く？」
その五条先生のフットワークの軽さに、薄く仰天する。わたしは、そんな妙味を得ながら、たじたじうなずいた。
＊
「やぁ悠仁。元気してた？」
「うおせんせ、ひっさしぶりだなぁ」
「そうだねぇ、最近はあまり来れていなかったからね」
五条先生の背の陰に隠れ、わたしはひとり、身悶えする。虎杖さんの声だ。懐かしさと安堵とその他諸々がいっぱい、胸に詰まっていくようで、苦しかった。嬉しかった。
「久しぶりといえば、もっとそうな人もいるよ」
「どゆことだ？」
「はいっじゃーん、一ヶ月とちょっとぶりの、詠見 Aちゃんでぇぇす！」
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緋野こおり(プロフ) - 春光さん» コメントされるって、すごく嬉しいことです。私自身も、作品を本当に愛していて、そしてそれが、届くべき人に届いているだなんて、そんな幸福なこと、ありませんから。本当、ありがとうございます。 (2022年4月24日 14時) (
レス) id: a227e14c30 (このIDを非表示/違反報告)
春光 - またもやコメント失礼します!! 話が進んでいくにつれ私の興奮が…やばいです!!!! これから応援しています。楽しみに待っております。(^o^) (2022年4月17日 20時) (レス) @page43 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
春光 - とても面白いし読みやすくて好きです!!（なんか上から目線みたいになってすいません(╯_╰)）続き楽しみです (2022年4月3日 15時) (レス) @page30 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うずのしゅげ x他1人 | 作者ホームページ：https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7
作成日時：2022年2月18日 22時
