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.．スーツと私服とが行き交う街の、昼下がり。三人は別行動でそれぞれ行きたいところへ行くこととなった。わたしはもう、衣服の購入は済んだし、特に思い当たるところもないので、最寄りの書店へと向かう。しかしここで一つ、問題が生まれた。わたしの背後を、伏黒さんが歩いているのだ。
わたしはどきどきしていた。同じ書店に行くということだったから、行動を共にしているというわけだけれど、だって、密室的な意味でなく、好きな人と二人きりだなんて状況、この上ないくらいにしあわせだけれど、やっぱり、どきどきする。耳が熱くなっている気がした。髪はおろしてくるんだった、わたしは今朝の自分に後悔を投げる。
決して高くない身長に比例した脚を一生懸命に動かして前へ進む。伏黒さんはそんなわたしと対象的に身長が高く、脚もそれに比例している。わたしの歩く速度が遅いと気に障らせてはいけない、その一心でなけなしの体力を絞り出す。
そうしてやっと、書店に着いた。わたしはその空間を揺蕩う空気に安堵して、いつもの歩幅で文庫本の並ぶ棚へと向かった。
＊
今月分の癒し、と、呪術師としての金銭をここで少し使う。購入した本は五冊、五十音順に、塩田武士著、「氷の仮面」。まさきとしか著、「祝福の子供」。吉田篤弘著、「それでも世界は回っている１」、同じく吉田さん著「月とコーヒー」、江國香織著、「はだかんぼうたち」。
わたしはミステリー系の物語が苦手である。展開が読めればそんなの全部、退屈になる。それでも他に、おもしろいことなんてないのでわたしは本を読む。読むことで、この退屈が覆ることを期待して。
わたしが美術館を巡ることはかなりの苦行だ。あれはかなり体力を消耗する。そしてこのショッピングもまた然り、わたしには本をぼちぼち見て回るくらいが丁度いいのだと、また一つ、自分を知った。
午前中の間、ショッピングを満喫する釘崎さんについてまわっていたわたしの脚は、木枝の如く固まっており、わたしは書店横の公園の、ベンチに腰を下ろす。
良い木漏れ日が、わたしの眠りを催促した。眼前に広がる砂場だとか遊具を存分に楽しむ５歳児あたりの子どもたちがちらつく。わたしは己の記憶を想った。５歳。わたしは、どんな５歳を過ごしていたんだっけ。
頭なんてまともに働かない、まさに夢見心地の、半醒半睡の状態でうつら、うつらとしていた。日差しは温かかった。
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緋野こおり(プロフ) - 春光さん» コメントされるって、すごく嬉しいことです。私自身も、作品を本当に愛していて、そしてそれが、届くべき人に届いているだなんて、そんな幸福なこと、ありませんから。本当、ありがとうございます。 (2022年4月24日 14時) (
レス) id: a227e14c30 (このIDを非表示/違反報告)
春光 - またもやコメント失礼します!! 話が進んでいくにつれ私の興奮が…やばいです!!!! これから応援しています。楽しみに待っております。(^o^) (2022年4月17日 20時) (レス) @page43 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
春光 - とても面白いし読みやすくて好きです!!（なんか上から目線みたいになってすいません(╯_╰)）続き楽しみです (2022年4月3日 15時) (レス) @page30 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うずのしゅげ x他1人 | 作者ホームページ：https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7
作成日時：2022年2月18日 22時
