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.「おし!行くぞー」

 朝からそんな朗らかな声を弾ませて、釘崎さんはむんず、むんずと長い脚を存分に伸ばして校舎を離れていく。

「なんで俺まで...」

 わたしはノリノリに先頭を歩く釘崎さんの背中を眺めながら、少し後ろを歩く彼を想った。普段、休日の伏黒さんを拝められる機会だなんてそうそうないので、わたしは嬉しかった。

 ショッピング、それをわたしは今日、はじめてする。


  *


 高専の静寂から少し出て、規則正しく青空を反射するビルや、騒々しい人混みだとかがぼちぼち見受けられるようになってきた。

「あんたら行きたいところとかある?」

『書店などは...』

「あー、それは俺も行きたい」

「わわ、虎杖いないとあたしまで陰鬱に巻き込まれそうだわ」

「陰鬱ってなんだよ」

「いーわ、ならまずは服から見ていきましょ」

 書店、の意見に同調してくれた伏黒さんを想ってか、わたしはほんの少しの笑いを顔に含ませる。なんだかしあわせだった。これまでの日々と、今日日(きょうび)では、それは信じられないくらいにずっと、もっとしあわせで、実際わたしは信じられなくて、なんともいえない気持ちになる。

 君だよ。伏黒さん。わたしの想いに気づいてね。でも、気づかないでね。

 恋って本当不可思議だ。こうして呪いだの生死だの黒い呪術の世界の中でも、わたしは今、彼のことがたまらなく好きで、片想いは絶対に気づかれてはいけないっていう不文律みたいなものがあって、“好きバレ”って、そういう術もあるみたいだけど、それはどうしてかできないよね。

 コイビトとか、フウフとか、そんな言葉で語れる関係に、わたしはなりたいのかな。繋がりたいと思う気持ち、この関係がずうっと続けばいいって気持ち。でも結局は、あなたがしあわせならそれでいいって、わたしは奥歯を噛み締めて、そう思うんだ。

 焦れたいね。恋しいよ。しあわせだよ。

 街中を歩くこんなわたしが、一人そんな想いを抱えて微笑んでいるということ、それはすれ違いざまの人間には、きっと、わからない。

 これはわたしの、ヒメゴトだから。
 

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緋野こおり(プロフ) - 春光さん» コメントされるって、すごく嬉しいことです。私自身も、作品を本当に愛していて、そしてそれが、届くべき人に届いているだなんて、そんな幸福なこと、ありませんから。本当、ありがとうございます。 (2022年4月24日 14時) (レス) id: a227e14c30 (このIDを非表示/違反報告)
春光 - またもやコメント失礼します!! 話が進んでいくにつれ私の興奮が…やばいです!!!! これから応援しています。楽しみに待っております。(^o^) (2022年4月17日 20時) (レス) @page43 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
春光 - とても面白いし読みやすくて好きです!!(なんか上から目線みたいになってすいません(╯_╰))続き楽しみです (2022年4月3日 15時) (レス) @page30 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うずのしゅげ x他1人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7  
作成日時:2022年2月18日 22時

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