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.「野薔薇については?」
『彼女は、仙台の中でも田舎の地方の生まれですよね』
「どうしてそう思うの?」
『まずは、歩き方が、コンクリートで育ってきたようなものではないですし、都会への憧れが強い、髪は染めている、おそらく美容に力を入れている、イントネーションに微妙な上がり方がある、都会のにおいに慣れていないようなしぐさが見られる、など。曖昧な情報ですが、ここまでたくさんあると、それはもう確信に近いです。そして田舎と都会では、人口密度の差が歴然としているでしょう。それに呪いも比例します。ゆえ、“東京観光”と呈したこれは、釘崎さんの力を試すまで、であると』
「一息でどうもありがとう。正解だよ」
わたしはその感謝に頭を軽く下げて応じる。もしかしたら、釘崎さんの呪術高専入学は、都会へ出たい、またはそのたぐいのもののための、口実であるのだろう。
そこまで話して少しの沈黙が下りたとき、ビルの窓ガラスを割って、呪いが飛び出してきた。
「祓います」
「待って」
五条先生が制する。すると、呪いの心臓から、鋭利に黒々と光る針が飛び出して、そのまま祓われていった。伏黒さんはその呪いを凝視しており、今起きている物事の収集がついていないのだと感じた。
『釘崎さんです』
「なに?」
『彼女の術式です』
「ちゃんとイカれてるね」
そう言って立ち上がる五条先生についてわたしと伏黒さんも立ち上がる。本当に、わたしらしくないが、斜め後ろにいる伏黒さんの身長差が少し、恥ずかしかった、というか、どきどき、した。
*
目覚めた瞬間に、とてつもなく猛烈な吐き気が襲ってきた。それでも起き上がれずに布団の上で口を押える。ほぼ同時に、下腹部がずきんずきんと痛みだし、わたしはお腹を抱えてまるくなった。痛い、痛い。助けて、誰か、助けて。浴衣の布をただ握りしめるばかりで、それでも痛みは治まらない。
生理だった。今月の生理が、今、来てしまった。
*
「繋がりませんねぇ」
「なに?どったの、伊地知さん」
スマホを片手に首を傾げる伊地知。そしてそんな伊地知の顔を覗き込む虎杖も然り、この場の全員が表情を曇らせて、事の展開を待つ。
「詠見さんに電話が繋がらないのですよ」
「まさか...寝坊っ!?」
虎杖のお得意オーバーリアクションがここでも炸裂する。
「詠見に限ってそんなことはねぇだろ」
伏黒は的確なつっこみをした。
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緋野こおり(プロフ) - 春光さん» コメントされるって、すごく嬉しいことです。私自身も、作品を本当に愛していて、そしてそれが、届くべき人に届いているだなんて、そんな幸福なこと、ありませんから。本当、ありがとうございます。 (2022年4月24日 14時) (レス) id: a227e14c30 (このIDを非表示/違反報告)
春光 - またもやコメント失礼します!! 話が進んでいくにつれ私の興奮が…やばいです!!!! これから応援しています。楽しみに待っております。(^o^) (2022年4月17日 20時) (レス) @page43 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
春光 - とても面白いし読みやすくて好きです!!(なんか上から目線みたいになってすいません(╯_╰))続き楽しみです (2022年4月3日 15時) (レス) @page30 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うずのしゅげ x他1人 | 作者ホームページ:https://twitter.com/8YgT1yhKwYPDEd7
作成日時:2022年2月18日 22時