まもりたかった ページ41
「まず、まもる君が友達を殴ったのには訳があるんだよね。それを聞かせて欲しいの。」
そう聞くと、まもる君はフッと笑った。
「なんで?知らない奴に話す訳ないじゃん。
それに、あいつらを殴ったのに理由なんてない。
ただ、ムカついただけだ。」
嘘だよね、知ってるよ。
本当は全部知ってる。
でも……あなたの口から聞きたいの。
私はじっとまもる君の瞳を見つめ、そっと言う。
「……本当に、それだけ?」
まもる君の呼吸が一瞬止まった。
ねえ、本当のことを言って。
まもる君はため息混じりに言う。
「お前は、俺の今から言うことが信じられるのか?」
私はゆっくりと頷いた。
「信じるよ、だってあなたは自分を犠牲にして他人を守るくらい、とても優しい人だから。」
そう言うと、まもる君はさっきとは違う、優しい笑顔でフッと笑ったんだ。
「今日会ったばっかのくせに、言うじゃん。」
「まあね、でも、人を見る目は持ってるつもりだから。」
まもる君は、ベッドから降りて、フローリングの上にあぐらをかく。
「ま、いいけどさ。お前も座れよ。」
私はまもる君の隣に座った。
「えーっと、なんで友達を殴ったか、だっけ?
てか、俺からすると、なんでそのことを他校のやつが知ってんのかって感じだけど、それは次の時にでも聞かせてもらうな。
……俺はまあ、俗に言う陰キャってやつで、愛想もないせいで、結構クラスで浮いてた。自分の場所を見出せずに。
でも、そんな時、3人のやつが声かけてくれてな。
そいつらも陰キャなんだけど。」
いたずらっ子のように笑う。
あぁ、良い笑顔、と不意に思った。
「でもよー、実はそいつら、俺の陰口言っててさ。
男ならそんくらい許せって思うかもしんないけど、信じてたからこそ、言われたのが結構心にきて。
殴った、そいつらのこと。
それについては先生に言ってないけどなー。面倒だし。」
まもる君は乾いた笑みをもらす。
……私は知っている。
先生に言わなかった本当の理由。
かばったんだよね、彼らを。
たとえ、裏切られたとしても、守りたかったんだよね。
私はゆっくり、静かに声を出した。
「もし、その友達の中に、本当はあなたの陰口を言ってなかった人がいるって言ったら……どうする?
むしろ、かばっていた人がいるって言ったら?」
まもる君は信じられないと言わんばかりに首を振る。
「まさか……」
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あき@草売り大魔王(プロフ) - りんご🍎さん» コメントありがとうございますー!!!忍のかっこよさが伝わってくれて嬉しいです!!! (2022年11月26日 23時) (レス) id: e269879e16 (このIDを非表示/違反報告)
りんご🍎 - 忍かっこよすぎる最高! (2022年11月23日 14時) (レス) @page5 id: db8ce53dbc (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - クッキーベルさん» いやいやいやいや、リメイクしても酷いわ() でも、頑張るぞい!(笑) (2020年5月13日 22時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
クッキーベル(プロフ) - 本当に素晴らしい作品だよ! リメイクしないでもすごいのに…! リメイクも頑張ってね! あきふぁいとー! (2020年5月13日 22時) (レス) id: 456e770b4f (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - シロンさん» ありがとうございます!!早速、明日か明後日あたりに更新したいと思います!! (2019年12月20日 17時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時:2019年8月14日 23時