本当の仲間は知っている

私はだあれ　 ページ35

私は家まで悠飛に送ってもらった。



「俺らはいつだってお前の味方だから。」

悠飛はそう言い、目を細め、背中を見せて帰っていった。




味方……ね。


私は玄関の扉を開けながら呟く。

「そんなこと、口でならいくらでも言えるっていうのに。」




「あら、彩、お帰りなさい。
　何か言った？」

たまたま玄関にいたママと目が合う。


そこでハッとした。


「えっ……あれ、なんで今、私……」

あんなことを言ったの？



「どうしたの、彩。」

ママが私の顔を覗き込む。



けれど、私は自分の顔見られまいと、手で隠す。

「いや、なんでもない。
　ただいま。」



私……なんてことを。

私を信じてくれた仲間に。




自分が変わっている。

……怖い。



変わりたくない！！




「顔色が悪いわよ？」

「やめて！！」


私はママを強く押す。

「彩！？」




私は自分の部屋へ走った。



ベッドに飛び込み、枕に顔を押し付ける。





さっきの私は何？

信じてくれた仲間に何を思った？

なんでママを拒否した？





私という、立花彩という、一人の人間がうねりながら変わってゆく。

少しずつ形を変え、それは望まぬ形になってゆく。




私が、私の知る私ではなくなっている。



私はもう私じゃない。

でも、私は私なの。



矛盾だらけの一人の人間。









私……だあれ？

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