本当の仲間は知っている

立場逆転　 ページ24

「はじめまして。
　私の名前は、立花 彩。

　あなたは。鳥島 ほのみちゃんだよね。」

そう言い、ニッコリ笑う。



けれど、ほのみちゃんの顔はピクリとも動かなかった。





どれだけ辛い日々を過ごしたのか、一瞬で分かる。

だって、私もほのみちゃんと同じ思いをしたんだもの。




だから……私を一度だけ信じてみてよ。

後悔なんてさせないから。



自分の思いをのせて、私は切なく微笑んだ。

そうしたら、ほのみちゃんの顔が一瞬だけピクッと動いたのが見えた。




同情してくれるの？

優しいね、ほのみちゃんは。



私はKZのことを思い出しながら、声を出す。


「ほのみちゃん、大変だったよね。


　私、ほのみちゃんの気持ち、分かるの。
　きっと誰よりも。

　だって、私もほのみちゃんと同じようなことが起きたから。」




そう言うも、ほのみちゃんはまだ信じてないように、眉を顰めていた。

どうすれば信じてくれるんだろう。



考え込んでいると、ほのみちゃんは真っ青になって、私の腕を指差す。



「ど、どうしたの、その腕……。」

声の出ない叫びみたいになってたんだ。



ん？腕？



自分の腕を見ると、長袖から少し見えるあざがあった。

慌てて長袖を引っ張り、隠す。




まずいものを見せちゃったかな……。

このあざは黒沢さんたちに付けられたもの。




時間が経てば治るらしいけど、結構酷いんだ。

お医者さんに見せた時は目を丸くされたくらい。



えっと……一応説明したほうがいいよね。

隠し事は信用されないもの。



「これは、いじめで付いたんだ。
　ごめんね、気持ち悪いよね。

　忘れていいから。」




沈黙が続くと、ほのみちゃんはゆっくりと口を開いた。

「気持ち悪くなんてないよ。
　あなたのそのあざはいじめと戦った証拠だから。」




ほのみちゃんは私の手を取って、ギュッとする。






なんて心の綺麗な人だろう。

そんなこと言われたことなかったし、考えたこともなかった。




嬉しさから込み上げる涙が私の涙袋にたまる。



そんな私を見て、ほのみちゃんは私を引っ張った。

そして、胸の中で抱えてくれたんだ。




「泣いていいんだよ。」

優しい言葉が私の力を皆無にして、溢れさせた。





私がほのみちゃんを元気付けるはずだったのに、立場逆転になってるじゃない。

でも、ほのみちゃんは温かくて、泣く以外がなかった。

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