私の魔法は知っている

壊す ページ38

〜彩目線〜



ふふっ。

なぜか、とても楽しい気分。



新しい自分の扉が開いたよう。




「そういえば、魔王さん？さっきから一言も喋らないのは何故？」

私は不適に笑い、魔王を見た。



すると、魔王は突然体を震えさせる。




何？今更ビビってるの？



私は心の中で嘲笑った。

本当に弱いわね。



「あ、彩様、先程は大変ご無礼なことをしました。
　誠に申し訳ありません。」


魔王は膝をついて、私に謝った。

でも、私は首を傾げる。


「弱者のくせに、私に話しかけるの？
　消えてくれる？

　召喚魔法 Fire dragon(火龍)」


私がそう唱えた途端、火龍が出てきたと思いきや、
魔王の姿は灰となって消えていた。




少しやりすぎたかな？

でも、これくらいでよかったか。


いや、足りないくらいかも。




だって、私の愛しい翔を殺したんだもの。


当然の報いだと思わない？




私は、魔王を消せたことに満足した……、なんて甘いこと言えると思う？



これだけじゃ足りない。

これっぽっちじゃ、翔は報われない。




まだまだ足りない。





私は呆然と立ち尽くしている若武達に視線を向けて言った。









今度はあなたたちの番だよ?





こうなったら、止まらない、止められない。


全て消すまで満足出来ない。





これも全て翔を消したあいつのせい。


私のせいじゃない。




壊しても私の責任じゃない。




私は手に力を入れてそう信じた。








でも、私の綺麗な心はこう言うんだ。









誰か私を止めて

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