８７話 ページ2
あの後、夕子さんからの連絡で調べられるご遺体があることが判明した。そこからは所長がめちゃくちゃ頑張ってくれて、テキサスから届いたご遺体をミコトさんたちが解剖しているところだ。
「そっか、糀谷さんは土葬だったんですね…」
「…ああ。」
「…証拠あるといいですね。」
「…ああ。」
解剖室の外、ガラス越しに糀谷さんを見つめる系さん。何を言っても上の空な返事しか返ってこない。でも、仕方ないことだから。最愛の人が目の前にいるのだから。当たり前なんだ。言い聞かせて言い聞かせて、系さんが立っている方とは反対側の手を強く握った。
裁判当日は学校で行けなかったから、バイトに行ってから聞いた。結果として、高瀬は無事に殺人罪として逮捕されたという。しらばっくれていたが、裁判でのミコトさんの一言が決め手となったらしい。
『心から、同情します。』
その一言で高瀬は狂ったように叫び、自供した。今回のことだけじゃなく、今までの事件のことも全部。更に、毛利さんたちによって宍戸も捕まったという。めちゃくちゃかっこよかったらしいから、ちょっと見たかった。
「これで、終わったんですね…お疲れ様です。」
「うん。Aちゃん、お疲れ様。」
「Aちゃんお疲れ！」
にっと笑ったミコトさんと夕子さん。その笑顔に気が抜けたが、私は何もできていない。
「私は何もできていないです。皆さんがすっごく頑張ってたからですよ。」
そう言うと、夕子さんに後ろから羽交い締めにされて、ミコトさんが前に仁王立ちした。私より背の高い2人に見下ろされるのは少々ビビるが、それよりもこの状況に戸惑っている。目をぱちくりとさせていると、額に衝撃が走った。
「痛っ、痛いですよ！？」
「デコピンしたんだもん。痛いよ。」
「そんな当たり前みたいに言われても。」
なんなんだ、と困惑していると、羽交い締めを解いた夕子さんに肩を掴まれて言われた。
「Aちゃんは、めっっちゃくちゃ頑張ってくれたの！！それは私たちが1番わかってる！だからAちゃんでもその頑張りを否定するようなことは言わせないからね！」
「東海林の言う通り、Aちゃんが頑張ってないなんてありえないんだからね！」
2人に言われて、どうしても取れなかった、つっかえていたものがすとんと落ちた。と同時に、安心からかポロポロと涙が零れてきた。止まらない涙に2人が慌てているのを見てつい笑うと、ぽかんとした後に「笑ったな〜！」と飛びつかれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月影(プロフ) - たこさん» ありがとうございます！再更新に向けて頑張ります！ (2018年8月16日 22時) (
レス) id: 23e17ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
たこ - とても楽しく読ませてもらいました！私もアンナチュラル好きだったので、この小説を見つけられてとても嬉しいです！続きがとても気になるので、再更新待ってます！がんばってください！長文失礼しました。 (2018年8月15日 22時) (レス) id: ca9d716e46 (このIDを非表示/違反報告)
月影(プロフ) - はらさん» ご指摘ありがとうございます！！！忘れてしまうので指摘してくれる方がいるのとても嬉しいです！ (2018年5月10日 18時) (レス) id: 831fe892d1 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外し忘れていますよー違反行為なのでちゃんと外して下さいねー (2018年5月10日 17時) (レス) id: 9f3c62d37e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トマトご飯 | 作成日時：2018年5月10日 16時
