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「ん……」
目が覚めると白かった。漂う薬品の匂いと息苦しさに病院だと気づいた。つまり助かった、ということだ。
(……見つけてくれたんだ)
痛む体に鞭を打って上半身を起こそうとすると、右手が暖かかった。どこかで感じたことのある温もりと、視界の端に見えた無造作な髪に「あ…」と声を漏らす。それと同時に手の主が目を覚ました。
「なん、だ………!?」
「おはようございます……?」
口をパクパクさせて驚くものだから思わず疑問形で言ってしまった。
「お前っ……!」
怒鳴られると思ってぎゅっと目をつぶる。だが、いつまで経っても怒声は降ってこない。その代わりに他の人よりも低い体温が私を包んだ。
「……け、いさん?」
「…………良かった」
ポツリと、ただ一言そう言った。その言葉だけで、どれだけ心配させたのか分かった。そっと系さんの背中に手を回すと、抱き締める力が少し強くなった。
「心配させて、ごめんなさい」
震えそうになるのを堪えて言った。語尾が萎んでしまったから泣きそうなのはバレただろう。それでも優しい声音で「本当だ」と言っただけで、怒りはしなかった。彼の不器用な頭の撫で方にほっとして涙が溢れてきた。
「こわ、かった……!死 ぬかと、思った……!」
「あぁ」
「でも、信じてたからぁ……!」
「あぁ、よく頑張った。……生きてて良かった」
本当に安心したように微笑んだ系さんを見て、もう涙は止まらなかった。
そして、ミコトさん達が来るまで泣き続けた。
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月影(プロフ) - たこさん» ありがとうございます!再更新に向けて頑張ります! (2018年8月16日 22時) (レス) id: 23e17ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
たこ - とても楽しく読ませてもらいました!私もアンナチュラル好きだったので、この小説を見つけられてとても嬉しいです!続きがとても気になるので、再更新待ってます!がんばってください!長文失礼しました。 (2018年8月15日 22時) (レス) id: ca9d716e46 (このIDを非表示/違反報告)
月影(プロフ) - はらさん» ご指摘ありがとうございます!!!忘れてしまうので指摘してくれる方がいるのとても嬉しいです! (2018年5月10日 18時) (レス) id: 831fe892d1 (このIDを非表示/違反報告)
はら - オリジナルフラグ外し忘れていますよー違反行為なのでちゃんと外して下さいねー (2018年5月10日 17時) (レス) id: 9f3c62d37e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トマトご飯 | 作成日時:2018年5月10日 16時