相対する世界に飛び込んだようだ。 (ページ9)

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圧倒されて戸惑っていると、続いて入ってきたジャックがもー、と腰に手を当てて言った。

「そんなに一気に見たらびっくりするでしょ！」

「あら、ごめんなさい。驚かせてしまいました？」

「あ、いや、大丈夫です」

「堪忍な、皆アンタのこと気になってんねん」

そう言って肩に手を置いてきたのは艶やかな黒髪のターバンを巻いた女性。関西弁みたいな話し方をしていて、ジャックとはまた違ったフレンドリーさだった。そして、始めに心配そうに謝ってきたのは綺麗な白髪のベルを持った女性だった。

「えと……」

名前がわからず戸惑っていると、ミスターが助け舟を出してくれた。

「こらこら、自己紹介しなきゃ分からないだろう」

その一言で自己紹介が始まった。まずはさっきの2人、ファージャとヴェール。ハイエナのスカー、青い炎のハーデス、凛々しいホックと女性陣が続いた。その後、角みたいな帽子を被ったマルフィ、犬のダルメシアと男性陣が続いた。皆、敬語じゃなくていいと言ってくれたのでお言葉に甘えた。
「じゃあ、ラスト」とミスターがステッキでさしたのは、隈の酷い背の高い男性だった。

「初めましてLady。私はアップルポイズンです。マスターはウィックドクイーン。よろしくお願いしますね」

そう言うと、私の手を取って甲にキスを落とした。驚いて固まってしまうと同時に、ぶわっと顔に熱が集まったのが分かった。

王子やん……ヴィランズじゃなくて王子やん……隈酷いけど……。

なんというか、紳士。

語彙力が著しく低下したところで「よろしくお願いします…」となんとか絞り出した。にこりと微笑んだその姿はあまりにも王子。そんな中、後ろから不穏なオーラが漂ってきた。

「ちょっとリンゴ！Aに近づかないでくれる！？」

「別にあなたに不利益はないでしょう、トランプ」

頭上で始まったいがみ合いに苦笑いを浮かべながら、静かにスキャターのほうに移動した。いつもああなんです、と零す彼女にお疲れ様ですと心の中で手を合わせた。結局ミスターに怒られている彼らを横目に、ふと違和感を感じた。

「あれ？昼間の蛸……えっと、エイトフットさんは？」

「そういえばいませんね……って、あ」

「う、わっ」

「よぉ、来たんだな」

突然、後ろから腕が伸びてきて一方的に肩を組まれる。耳元で話され、ぞわりと背筋に何かが走った。