相対する世界に飛び込んだようだ。 (ページ4)

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(何だこの人……人？蛸？)

ん？と首を傾げていたが、進行は進んでいてスキャターが言った。

「それでは名前を聞いてみましょう。」

隣のお姉さんが言ったあと、マイクが向けられる。

「A、です」

すると「へぇ、Aか……」と隣から低い声が聞こえてきた。目を丸くしていると、なんだその顔、と鼻で笑われた。

「なるほど。では、○○様とA様がヴィランズの世界へと来た時のためにポーズをプレゼント致しましょう。それじゃあ、ジャックよろしく」

「ＯＫ！僕からプレゼントするポーズはこれ！」

「ジャックさんそれは？」

「『カメラのシャッターをきるポーズ』だよ！みんな得意でしょ？パシャパシャパシャパシャやってんだからさ！じゃあ、行くよ。せーの！」

効果音と共に彼が決めたポーズ。今度は私たち側を向いてやってきたので、同じようにやった。そこからはそのポーズを取り入れたダンスが始まり、時々エイトフットやジャックハートに絡まれながらも終わりを迎えた。

「さて、お二人にはつかぬことをお伺いしますが、私達ヴィランズの世界に興味はございますか？すなわち、リクルーターの招待を受け、ヴィランズの世界へと旅立つご覚悟はお有りでしょうか？」

「お待ちくださいミスター！私スキャター、いつでも準備はできておりま、」

「どーん！」

「ぐはぁっ！」

またもや始まったコントに思わず笑うと、遠くで凄まじいシャッター音が鳴った。見れば友人で、良い笑顔でサムズアップしていた。なんなんだあいつ。

「さぁ、いかがでしょう。現世へと別れを告げ、親兄弟お友達その他諸々ご親戚へとも別れを告げ、ヴィランズになるご覚悟はお有りですか？YESかＮＯでお答えください。」

さっきのＯＫしろはこの事だったのね。そう思いながら、友人を見ればまるで私のことは気にするなと言わんばかりにサムズアップしていた。友人に言われたのもそうだが、普通に楽しそうだなヴィランズの世界。意外にももう1人の女性がNoで落胆している彼ら。期待と不安に満ちた表情の彼らと観客に答えるように私は言った。

「Yes」

その瞬間、湧き上がった歓声に驚いて肩を揺らした。見れば観客だけじゃなく、リクルーターの彼らもガッツポーズをしたりしていた。
激しい喜びように目をぱちくりさせて驚いていると、ジャックハートにハイタッチを促されておずおずと手を合わせた。