相対する世界に飛び込んだようだ。 (ページ23)

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オレには気になっていることがある。

「ほーら、カメラ置いて。ちゃんとやってくださいね」
「は、はい……！」

人間の大人に対してはこの対応。

「その格好すごく素敵です。アップルさんが好きなんですか？」
「すきー！」
「ふふ、そうですか。じゃあ今度はアップルさん連れてきますね」

子どもに対してはこの対応。

そう、新人でありMr.Vの助手であり、俺らの世話係のユオンのことである。そんなアイツのことを日々見ていたら、思うことがあるのだ。

「なんっなんだアイツ……！！！」
「ユオンは本当にリクルート向きだなあ。人間の心をよく掴んでいるよ」
「元人間だからってことを差っ引いても上手すぎだろ……アイツやっぱ天性のヴィランズなんじゃねぇの？」
「キミが目をつけたんだろー」
「そうだけどよォ……」

頭を抱えて項垂れていると、くすくす笑ったマルフィが「心配なのかい？」と言ってきた。心配？俺が？その思いから「ああ？」と眉を寄せた。

「なんで心配なんてしなきゃなんねーんだよ」
「いやあ。キミが最初に目をつけたユオンがほかの皆に取られるとでも思っているのかなーと」
「……んなわけねーだろ」
「じゃなきゃ、何をそんなに悩んでるんだ」
「……それがわかりゃ苦労しねーよ」
「それもそうか」

散々言っといてそれか。

鏡で口元を隠しながら笑うマルフィに「楽しそうだな、お前はよォ」と嫌味を言えば、気づいているのかいないのか「楽しいさ。口八丁な友人が振り回されているのだから」とより一層笑っていた。

「お前は本当ヴィランズだなァ」
「ヴィランズだからなー」