32話 ページ40
次の日。
ミコトさんからの連絡で自分が容疑者であることを知った夕子さんからはいつもの余裕が消え去っていた。
「話じゃねぇな…任意で引っ張る気だ。」
「逃げた方が良い気がしますね。」
「Aちゃんそんな冷静に言わないで!」
慌てる夕子さんと「弁護士!」とこれまた慌てる神倉さんが話していると内線が鳴った。警視庁の刑事たちが来たらしい。仕事早いなと思いつつも、流石に冷静だった私と中堂さんも焦っていた。とりあえずテンパる夕子さんを宥めていると、その奥の廊下に刑事の人達が見えた。
「まずい!」「やばいやばい!」
私が夕子さんをしゃがませるのと同時に、中堂さんも神倉さんをしゃがませた。
「夕子さん、とりあえず逃げましょ。」
「逃げるって言ったって!」
半泣きの夕子さんに、中堂さんが畳み掛けた。
「今の状況で任意同行に応じたらクソつまらん理由で拘留させられてやってもない罪を自白させられる。訳の分からんでっちあげストーリーを毎日毎日念仏のように唱えられてみろ。クソほどの体力・気力・根性がなきゃ挫ける。東海林、お前体力・気力・根性あんのか?」
その問いに「ない。」と全力で首を横に振る夕子さん。さらに中堂さんは未だ焦り顔の神倉さんに言った。
「東海林が逮捕されたら補助金どころかUDIが吹っ飛ぶ。」
「マジですか。」
「あぁ、マジだ。とりあえず東海林は行け。」
こそこそと出て行く夕子さんに親指を立てた。直後にやってきた刑事さん達への弁解やら言い訳やらは神倉さんに任せて(押し付けて)、中堂さんに連れられて所長室へと引っ込んだ。
「いいんですか、押し付けちゃって。」
「俺もAも、ああいうのは無理だからな。」
「ふふっ、そうですね。」
神倉さんの必死の誤魔化しに声を殺して笑っていると、中堂さんも呆れながら笑っていた。
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とく(プロフ) - 月影さん» もちろんです!続編も頑張ってくださいね!!楽しみです! (2018年3月3日 22時) (レス) id: cfdee12d85 (このIDを非表示/違反報告)
月影(プロフ) - とくさん» コメントありがとうございます!楽しみにして頂けて光栄です!そしてご指摘ありがとうございます!気づかなかった…!速攻で直してきますのでおまちください!これからもよろしくお願いします! (2018年3月3日 22時) (レス) id: 05b42a57e2 (このIDを非表示/違反報告)
とく(プロフ) - 失礼します!とても面白い小説で、いつも楽しみにしています!そこでなんですが、所々、夢主の名前が「玲音」という表記になっていて、少し気になってしまいました...!生意気言ってすみません、更新頑張ってください! (2018年3月3日 10時) (レス) id: cfdee12d85 (このIDを非表示/違反報告)
月影(プロフ) - Ayaさん» コメントありがとうございます。私の中の中堂さんはツンが多めのツンデレだと思ってるので…(笑) (2018年2月12日 23時) (レス) id: 36c16853e4 (このIDを非表示/違反報告)
Aya(プロフ) - 楽しく読ませてもらってます。中堂さんが凄く可愛いです(*´∇`*) (2018年2月12日 22時) (レス) id: b5e437c3d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トマトご飯 | 作成日時:2018年2月10日 19時