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「さて、それで?話って?」
今日Aが日高に会いに来た事には理由がある。
どことなく話しづらそうな空気を醸し出していた彼女をリラックスさせるよう話題を振りながら、そろそろいけるだろうか…と切り出したのだ。
「……折りいってご相談があります」
「うん。改まってどうしたの?」
「私、来年から大学に進学したいと思ってます」
回りくどくせず、Aはなるべく端的にそう伝えた。日高の渋い表情に、ああやっぱり この選択肢はあまりよろしく無いんだろうなぁと思う。
「…………大学、か。
何か学びたいことがあるの?」
みなまで否定されないことは想定内で、それでも相応の理由がなければ彼は納得しないだろうと、Aはここ数週間ずっと考えていたことを口にする。
「進学はずっと目標の一つでした……色々考えて、今は、国際コミュニケーションを学びたいと思っています」
「ふむ、そうか。ミヅキは英語が得意って言っていたもんね。」
「はい」
「……もしかして今後の活動も意識してる?」
「……私は、目指す先にいる人達がどんなルーツを持って 何を大切にしているのかを学びたいです」
「………」
「知識は人と交わるための言語だから」
Aは脳裏にかつて家族に言われた言葉を思い浮かべながら、重ねるように話す。
『A、知識は言語だ。未来で出会うどんな人とも対等に話せるように、知識をつけるんだよ』
そうやって彼は、妹が学ぶ機会を失わないように、大学まで責任持って進学させると意気込みながら働いていた。
(お兄ちゃんの思いも無下にはしたくない……)
大好きな家族が望む姿を見せてあげたい。……それはもう叶わない、Aが持つ願いだった。
Aはこの歳で自立できるほどの収入を得た。それだけではまだ心許ないけど……幸いにも、祖母が手付かずで貯めてくれた遺族年金がある。
気持ちと資金は揃っている。
あとは、目の前にいる彼の許しがあれば。
「……、」
「……ははっ。そんな、不安そうな顔を向けられると弱るな」
「、へへっ……つい。その……」
BE:FIRSTになって、日高から今後の活動ビジョンを改めてきいたとき、そこに音楽活動以外の時間がほとんど入り込む隙がないことを 覚悟しなくてはならなかった。
もっと早く自分の意思を伝えるべきだったとも思わないわけではない。もし、オーディション中に進学の意思を伝えていたら、あるいは自分はBE:FIRSTのメンバーには……と、そんな考えまで浮かんで、珍しくAの足を重くしていたのだ。
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白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに! (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます!!更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね!!早い!!リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます!! (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます!時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2023年3月21日 18時