ミュージックアワー【BE:FIRST】

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(えっ、なんかいきなり皆怒ってる？！)




Aだって こんな理不尽に怖い思いをするなら空気なんて読めなくて良かっただろう。「……舜斗？もしかしてめっちゃ眠い？」……彼女は場の空気は読めるものの、人の気持ちに対して若干惜しいところがある。

案の定的外れなことを言われて、舜斗は「あ゙？」と強めの鳴き声を放った。威嚇かよ。




「ミヅキちゃんはまだ嫁には行かなくていい」

「何いきなり。予定ないよ」

「まず僕が認めた相手じゃないと渡さないから」

「私の未来の旦那さんって、リュウちゃんに例のアレしなきゃいけない感じなの？」

「いや、メンバー1人ずつだろ。甘いんだよ」

「まって試練多くない。ポ◯モンのジムリーダー達かな？」

「ショウタくんとコアくんとりょんりょん先生と社長も忘れんな」

「四天王ポジション出てきた……」




Aにとっての試練がポ◯モンのゲームに由来するのは突っ込みたいところだが、竜平、壮大、真人と立て続けに繰り出される詰めボケをいちいち相手にする姿は言うなればトレーナーだ。相棒の舜斗は絶賛反抗期中なので素手でバトルしている。





「『ミヅキを俺にください』とか言われたら一旦湘南の海に沈める」

「“さん”付けしろよ！うちの大事な一人娘だぞ！！」

「やめて何か始めないで！俺ん家壊れちゃう！」




ドスンっとソファーに拳を沈めた真人。流石の礼王も悲痛な声を上げるが、そもそも君の一言が発端なんだよ。と樹音はポケットに手を突っ込んで 殺気立つメンバーの暴走を俯瞰しながら思っていた。




「……ミヅキが嫁に行くばっかりに」

「行かないってば。止めてよあれ」

「めんどくせ」

「ほんっと冷たいジュノンくん」




プリプリしはじめたAをチラッと横目に見る。え、俺が怒られてるの？とばっちり過ぎない？と樹音は思った。俺は何も悪くない、と。強いて言うならお前が変に愛され過ぎなのだ、と。

そんな事を口にするのはしんどいので「タクシーそろそろ着くんじゃない」と空間に声をかけた。それを聞いてやっと玄関に向かうメンバー達。凌輝が部屋に戻ってきて「待って、置いてかないで！」と慌ててバックを肩に引っ掛けた。若干4名の異様な空気には気付いていない。




「……」

「舜斗こそ勝手に結婚とか許さないから」

「それはどうかな」




なおもジトっと睨む目にそう言えば返ってきたのは生意気な応え。「自分勝手！」と声を上げたら、直前の不機嫌が嘘のようにニヤリと笑った。



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