8-3 ページ49
.
移動車の中でも見たらいいよ。と、データが入った端末をスタッフさんがジュノンくんとソウタくんにそれぞれ一台ずつ預けてくれた。
ありがたいけど、何しろ2台しかない。争奪戦だった。
「みづ車酔いするだろ、見るのやめとけ」
「大丈夫だもん。いじわる」
「いじわる。じゃねー。まじで心配してんの！」
「どうだかなぁ」
「ちょ、そーちんマジそっち側つくのナシ！」
1番後ろの座席に座るソウタくんの隣に行こうとしたら、舜斗が引き止めるように肩を掴んできた。まじで心配とか言ってるけど、顔がニヤけてるんよなぁ。
「吐いても知らねーぞ」
「んー。」
マイクロバスの最後列の4席を、マナトくん、ソウタくん、私、舜斗の順で座って 小さな端末を覗き込む。前ではジュノンくんを囲うように、他の4人も身体を寄せ合っていた。
「なんか色々思い出すよなぁ」
「もうこの衣装着ること無いんだろうなぁ」
白い衣装で踊るシーンを見てリュウヘイが一言。「この雰囲気 私は結構お気に入り」と反応すれば、うんうんと頷いてくれる。
「裸足でパフォーマンスとかしてみたいよね」
「テレビとかでいきなりね」
「つえーなそれ」
MVを眺めながら、Gifted.のこれからに思いを馳せる。
何者でもなかった私達の内から滲み出てきた、言葉では表せないほどの才能。それを強く誇示するとともに、その歌詞に値するアーティストになるという決意の一曲。
この曲はこれからどんな風に成長して、どれだけの人に愛されていくんだろう。
私達のデビュー曲。
この世にたった一つの大切なギフト。
『──── We all , We all , We all gifted.』
「くぅ〜っ、……もう一回っ！！」
「ふふふっ」
余韻に浸る隙もなく、ソウタくんが親指で再生ボタンをタップした。
また、イントロが流れ始める。
静かな空間に、一つ垂れた才能の雫が波紋を広げるようなコレオ。
興奮を少しずつ消化して、胸の中に温かい感覚が沁みていく。少しの背伸びも感じないのに、これほどまでに上質に出来た作品がとても誇らしい。
きっと私だけじゃない。ここにいる8人が たった6インチの中に収まるこの映像を愛して、大切に抱きしめている。
(ここから証明していくんだ)
これが私達の音楽だと。
いずれ、私達8人が生まれた意味を、世界に示した時。
“ 我々は天賦の才能を持っている ”
そう強く歌うこの曲が、真に完成するんだろう。
.
next , Music hour 2
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白(プロフ) - ゆきさん» わーっ、嬉しい🥰 特別な立ち位置にいるシュントくんがこれからどんな活躍をするのか…他のメンバーがどのように食い込んでくるのか、楽しみにしていただければと思います。 (2023年4月7日 23時) (
レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 珠菜さん» まとめて更新するとなかなか早いですね笑 今後はどんどん不定期になっていきそうな予感です…次回もお楽しみに！ (2023年4月7日 23時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 新しく更新してもらえるたびに、テンション上がってしまいます！！更新チェックが最近の毎日の日課にっています(笑)今回のシーズンは改めてシュントの関係が今まで以上に主人公にとって大きいものだなぁと感じてドキドキもしてます (2023年4月7日 12時) (レス) @page50 id: f1ac1c79d7 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - もう続編なんですね！！早い！！リルティングの方とはまた違った楽しみができて嬉しいです🥰次も楽しみにしてます！！ (2023年4月6日 19時) (レス) @page49 id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - そうまなさん» ありがとうございます！時期的にはまーぜるくん達はまだまだ先になりますが…いずれ😳 リルティングアワーのほうが先に登場するかもです(小声) (2023年4月6日 18時) (レス) id: 2167f4606f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白 | 作成日時：2023年3月21日 18時
