ミュージックアワー【BE:FIRST】

8-2 ページ48

.




ため息が出るほどマナトくんを格好いいと思ったのは、出来上がったばかりのGifted.のMVを事務所の2階で視聴していた際に、2Bの彼のパートが流れた時だった。




「わっ…………かっ、こいい…………」




自然と口元に当てていた指の隙間からそう自分の声が漏れたとき、身体の両サイドにある舜斗の脚がギュッと私を挟むように せばまった。ちなみに数秒前の彼のシーンでも「格好いい」と呟いて、脚でギュッとされたばかり。


リュウヘイが身体を寄せて「やばいよね」と耳打ちするので、「うん……」と返す。

マナトくん、みんなも。本当にすごく格好いい。



4分程度のMV視聴が終わって、一緒に見ていたモモヨさんがマナトくんから順にiPhoneのカメラを寄せていった。MVの感想を一言ずつ……って事らしい。




「画面の向こうにいる自分が自分じゃないみたい……客観的に見てそれくらい凄い作品でした。ここまで頑張って来て良かったし、制作に関わってくれたスタッフさんも、ありがとうございました。

早くたくさんの人に見て欲しいです。てか私もはよもっかい見たい……っ！」




最後は両膝を叩いてそうコメントしたら、リュウヘイととレオくんが「ははっ！」と声を出して笑った。

見よう、もっかい見よう。と舜斗を振り返ったら、何となく 彼が泣いているように見えて。




「、？」




思わず膝立ちになって舜斗に顔を近づけた。「なんだよ」と彼が口角を上げるけど、やっぱり目は潤んでる。




(大丈夫かな、)




どうしたの、泣かないで……と頬に手をやりたいところだけど、カメラが回っている手前そんな事は出来ない。それにきっとこれは つらくて出た表情じゃないんだ。




「なーに」




もう一度舜斗が聞いてくるから、ううんと首を横に振って元の体勢に戻る。結局MVはもう一回見る事になって、ビデオ通話の向こうにいる日高さんは待ちきれずにメイクを始めてしまった。




「ちょ、出る前に最後にもう一回……」




リアクション撮影が終わり、リハーサルのために移動する頃リョウキくんが人たらしな表情でモモヨさんにおねだりしてた。

時間ないのに……と思いつつ、私たちも見たい気持ちは一緒だったからそこは一枚岩になっておねだりに加わる。




「ほんっとに……あと一回だけね」




仕方ないなぁという顔でモニターを操作するモモヨさん。スタッフさん達も何だかんだ私たちには甘い。



.

8-3→←8-1 ギフト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す